「君が僕を知ってる」スーパーノヴァ カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
君が僕を知ってる
芸術家同士(音楽家と作家)の中年のゲイカップル。作家のタスカーがアルツハイマー病となり、近い将来サムに迷惑をかけることや自分の哀れな姿を最愛の人に晒すこと案じていた。サムは薬で進行を抑えながら、最後の時までパートナーを支える心づもりでいる。二人の出会いの場でもあった湖水地方にキヤンピングカーで出かける。サムの演奏会の予定にあわせ、サムの姉夫婦の家に寄るなど、時間の余裕を持って出掛けた二人旅。旅の計画はタスカーが立て、運転はサム。
天文観測は二人の趣味。望遠鏡を出して新しい星を発見したいというサム。タスカーはサムの姪っ娘に恒星の最後の話をする。星のかけらはめぐりめぐって人の身体の一部になると。
映画の冒頭、星座(オリオン座?)と明るい大きな恒星が現れ、次第に無数の星が満天の空を埋め尽くすと、明るい大きな恒星はいつの間にか消えていた。
旅の出だしはドノヴァンやデヴィッドボウイの挿入曲にきれいな景色や森林のシーンで、大自然でのキャンプを二人で楽しむノリだったけど。コリン・ファースとスタンリー・トゥッチによるヒューマンドラマ。
最後はタスカーが好きだけど、なかなかサムは演奏してくれないと言ったクラシック曲をグランドピアノで演奏するサムの映像で終わる。うーん、どっちにしても、残される方がつらいのは確か。遺書がわりの録音テープを聞くのが早いか遅いかは問題ではない。でも、安楽死のための麻酔薬(バルビツール系)のバイアルを見てしまったら、ショックだね。
でも、このおじさんカップルはお互いをよく知り尽くしているので、ウソをついてもすぐわかるし、どんなことを考えるかも大体わかってしまうのが、つらいけど、何十年一緒に暮らしても肝腎のことはわかってない夫婦よりずっとしあわせなんじゃないだろうかとおもった。