劇場公開日 2022年3月25日

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「SFとは言えない」ヴォイジャー ビン棒さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5SFとは言えない

2023年12月29日
PCから投稿

冒頭の地球温暖化による云々という説明で、胡散臭い映画だと思ったが、
案の定、移住可能な惑星を探査する目的で子供たちを宇宙船に閉じ込めて
2世代の恒星間航行を強いる。と来た。

まず、こんな非人道的な事を計画は 人々に支持されるはずがない。
指示されなければ莫大な費用をかけられるはずがない。
もしも地球滅亡のカウントダウンが始まっていて 切羽詰まった状態なら、
探査計画が人々の支持を集められるかもしれないが、逆に志願者はいくらでも
出てくるはず。ここら辺の基点が狂っている。

バカげた発想で観るのをやめようと思ったが、飛ばして内容を確認すると
1.薬物で性欲などを麻痺させていたのが乗員(青年)たちにバレる。
2.薬物接種をボイコットする者が現れる。
3.本能の赴くまま行動したいという連中が暴走する。
4.監視者を殺害、嘘の情報を流して他の乗組員の恐怖を煽り、独裁者となる。
5.独裁者が倒されて、平穏に戻る。
こんな感じだった。

1.の薬物投与はやり過ぎだろう。
閉鎖された宇宙船で無秩序な妊娠を避ける必要があるのは解るが、
正しい知識があれば実現可能なのに、なぜ薬物を使う必要があるのか。
映画中では薬物は「毒素」と表現されている。植物にも忌避される物質らしい。
そんなもの、限られた船内で処理するのは負担でしかない。
薬物は、探査の実現に手段を択ばない地球を象徴するものなんだろう。
でも、この強引な設定はSFじゃない。

加えて言えば、地球温暖化という国際政治的ブームを 地球滅亡と直結して考える
映画制作側の頭の悪さ、イメージの貧しさにも閉口する。
縄文時代は文明も火力発電も無かったが、今より暖かったことが分かっている。
地球の長い歴史の中では、この温暖化も単なる温度変化に過ぎない。
この点でも映画のの出発点が間違っている。

この映画はSFじゃない。

ビン棒