「若きエネルギーの暴走」ヴォイジャー bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
若きエネルギーの暴走
地球規模での温暖化による天変地異によって、飢餓に襲われた人類が、新たな居住惑星を求めて86年の宇宙探索に旅立つSFサスペンス。いつか、こんな時代が来るのか?それとも既に最近の天候や自然災害を鑑みると、決して空言ではなく、現実味が増す設定でもある。
長い旅路の宇宙船に乗り込んだのは、閉鎖空間でも生活できるように訓練を受けた子供たち。指揮官のリチャードの指示や規則を守り、10年は順調に航行していた。しかし、子供たちが成長していく中で、薬によって抑えられていた自我や性欲に目覚め、それまでの管理体制に反旗を翻し、若きエネルギーが暴走し始める。
そんな中で、指揮官のリチャードまでも事故死してしまうと、若き本能の赴くままの言動には、歯止めが利かなく、それぞれのエゴや本性が露になることで、対立が起こり、宇宙船内という密室空間におけるサバイバルな展開は、それだけで息苦しさを感じる。
本作の主演は、『レディー・プレイヤー1』で主演を務めたタイ・シェリダンが演じ、シリアスな役柄を演じている。そして、そのヒロイン役を務めたのが、デョニー・デップの娘でもあるリリー=ローズ・デップが演じている。また、コリン・ファレルが、指揮官のリチャード役を演じているが、早々に事故死してしまうのは残念。
狭い船内で長く生活するには、ある程度の欲望を押さえなければならないのかもしれない。しかし、自我や欲望を発散させるのは若者の特権でもあり、それを押さえるのは、やはり無理があるだろうし、そこに秩序と規則を保つことに難しさを感じる内容となっている。こんな時代が来ないこと祈るばかりだ。
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