「笑えない」決戦は日曜日 中を言う策さんの映画レビュー(感想・評価)
笑えない
予告を見た印象やと、もっと軽いコメディなんかと思ってたらブラックコメディやった。
しかも、笑えへん。誇張されてるとはいえ、腐り切った今の現実が描かれてるから。
宮沢りえが演じる二世議員候補は、小池百合子とか小泉進次郎みたいなテイストで、わかりやすく記号的過ぎる気はするけど、秘書連中の人を見下した態度、さらに彼らを完全に下僕以下の存在としか見てない地方議員や後援会の連中。腐ってる。
後半の落選作戦は無理があるし、そのために差別的な発信をするのは、現実の自称保守をデフォルメして腐してるんやろうとはいえ許し難い。
結局自分らのことしか考えず、差別が助長されることで差別される側への影響なんかお構いなしってことやし、どうなろうが自業自得としか思えへん。そんな方法選ぶなら立候補取り下げろ。大人ぶってしがらみに流される言い訳ばっかしてんなって感じ。
それに、支持層の反発を招きたいなら性差別解消とか入管の人権侵害とか、リベラルな発信とか政権批判した方が手っ取り早いやろし。
それでたとえ野党側の支持層が一部支持したとしても、票が割れて落選出来たんちゃう?
宮沢りえがブチ切れてクソ共皆殺しにしてくれたらいいのにって思うけど、スッキリさせへん結末は現実から目を背けさせてくれへんて意味でよかった。
清洲会議に割り込んだ宮沢りえを一喝した小市慢太郎、怖かったなー。内田慈さんも終始いい味出してたし、宮沢りえとかイケメン2人よりも、その他の秘書とか地方議員、後援会とか脇の人たちが光ってた。
安易に差別をネタにしてたりとか、自殺を仄めかす人への接し方とか、事前にアナウンスして欲しい。コロナ禍になって頻発してる芸能人の自死のニュースを想起してしまったし、精神状態が悪い時に観てたらと思うと恐かった。
現実の政治に対する無関心とか諦念とか絶望、それでも出来ることをするしかないってかすかな希望みたいなんを描けてるとは思うけど、トリガーになる人のこと考えんとそーゆーとこを軽視してるから説得力ないし、大いに問題あると思う。
もっと丁寧に考えて作って欲しかった。
Netflixドラマ版の「新聞記者」と同根の問題点を感じた。