「おかしくも温かい家族の絆と愛の形が、しっかりと心に届く」泣いたり笑ったり 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
おかしくも温かい家族の絆と愛の形が、しっかりと心に届く
本作はイタリア産コメディならではの愛をめぐる感情表現の豊かさが際立つが、かと思えば、それと同じくらい繊細でしっとりとした展開をも併せ持つ。
元来、海辺とは何かが終わり、始まっていく場所だ。この映画では2つの家族が潮風香る別荘で唐突に顔を合わせ、両家のシングルファーザーたちは意を決して「実は・・・僕たち結婚します!」と打ち明ける。当然、皆はびっくり仰天。様々な思いを抱えつつ、荒波を乗り越え、あるべきハッピーなかたちを模索しようとするのだが・・・。
メインの恋人どうし(父親たち)が素敵だ。片やダンディーで、片やワイルド。タイプは全く違うが、それゆえお互いの欠けた部分を絶妙な愛で補い合っている感じがする。そこを核として、照りつける太陽の下、子や孫までもが各々の価値観、人間性を添えて人間模様を紡ぎ上げていく。その清々しさ。おおらかさ。こちらも泣いたり笑ったりしながら、実に開かれた気持ちになれる良作だ。
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