「やるせなさと哀しさではち切れそう。」ブラックバード 家族が家族であるうちに bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
やるせなさと哀しさではち切れそう。
尊厳死の合理性と早過ぎる死の狭間に横たわる哀しさを描いた、97分の佳作は英米合作。ノマドと言い、コレと言い、老いや死の問題を主題とする作品が最近増えた印象あり。特にこの2本は文学的。数年前は家族愛全盛だったけど。世間の興味が、どこにあるのかを考えての映画製作なんだろうし、それが故に「時代を写す鏡」なんて言われるんかなぁ。なんて事を考えてしまいました。
ノマドは何かから逃げながらも、仲間を求めて彷徨う話。こちらは、家族を守るための最良の手段として自死を選んだ女性の話。
身体はボロボロになって、治る見込むは無く、ただただ苦しみながら死を待つだけの状態なら。恐らく誰もが「もう楽になりない」「早く楽にしてあげて」って思うだろうに。
まだ自力で歩ける肉親が死にゆく様を見届ける哀しさたるや。
逃れられない病魔が自分自身を蝕み、家族へも苦痛を与えるだけだと考えれば、そうなる前に。それも、究極の合理的配慮と言える、ってのは分かるんですけどね。
合理性だけじゃ、人は幸せになれないよ、ってのもあるわけで。
やるせなさと哀しさではち切れそうになる映画だった。
「やすらぎの森」「秘密への招待状」と「死に方の話」を比較的短期間で鑑賞した上で思うのは、下手な邦題をつけるのは止めるべきだ!ってのと、今はまだ、今日を生きることを考えよう。
良かった。かなり。
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