愛のくだらないのレビュー・感想・評価
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野本梢監督は、ひとりの30代の人間が失敗を繰り返しながらも成長して...
野本梢監督は、ひとりの30代の人間が失敗を繰り返しながらも成長していく話を軸に、独自の視点と角度から描いています。自身の体験を元にしていると言ってますが、その感覚は「愛のくだらない」というタイトルからも感じられるでしょう。
これまで撮った長短編で野本監督は、親友への恋心を打ち明けられず悩むレズビアン女性、子育てを通して自身の葛藤と向き合う若い母親、年齢を重ねるごとに変化していく姉妹の関係、または人生の岐路に立たされた大学生の葛藤など、社会の片隅で追いやられてしまったり、他者との違いに思い悩んでいる人間などを、LGBTQやハラスメントといったテーマを交えながら、“生きづらさ”を感じている人々に光を当てて見つめてきました。
本作には昨今の“炎上”というテーマも盛り込まれていますが、より多様で複雑になった社会の中で、他者とどう向き合っていくか、自分の言動が周囲にどんな影響を与えているのかも問うています。結局それは自分に返ってくるもので、人生がむしゃらに走り続けることも大事だが、まわりの景色が見えなくなってきたことに気づけたら、一度立ち止まり深呼吸して、自分を見つめ直すことが大切なのでしょう。見る人によって、どこにポイントを置いて見るかによって多様な捉え方ができる作品です。
リアルでした
TV局内の人々を描く映画は、私たち一般人をどこか見下したような、「業界人でーす」という軽薄さに堕しやすいものですが、この映画は、普通にお仕事ドラマとしての生々しさを見せてくれていて、その場所が建築会社でも不動産屋でも印刷会社でも缶飲料メーカーでも化粧品会社でも変わりのないような、一社会人・一女性としての生き方問題映画になっています。厭味のないリアリティーの出し方に、ところどころの意外性もあいまって、飽きずに観られました。
夜の街角での主役男女の重要なやりとりシーンなどには、等身大の邦画を観ているウットリ感をたくさんもらい、そこに限らず途中途中で、監督への感謝の気持ちが私の中に湧きました。あらためまして、ありがとうございました。田辺弁慶の受賞も、おめでとうございます。
でも、お風呂場で滑った後が、あまり私の期待しなかった方向への飛躍でした。滑り方も釈然としないし、砂浜での二人歩きでごまかされたような、不完全燃焼の残念さがありました。
SNS拡散の件は、監督がどうしても描き入れたかったエピソードの一つなのだとは聞いてますが、展開的には不要というか唐突な感じがしました。バーで出会った男性が議員じゃなく全然違う種類の人で、全然違う流れがそこからあった方が、深みが出たと思います。具体的には思いつきませんが。
彼氏の事情については、「像像妊娠」という言葉が一度も出ませんでしたね? 無精子症をコンプとして抱えるがゆえのノイローゼ的妄想であるなら、堂々とそれを説明的キーワードとして使っていいと思います。荒唐無稽感を減らして一貫したリアリズム映画にした方が完成度が上がったでしょうから。中盤のせっかくの想像妊娠ネタがあっさり脇へ寄せられてしまったのは残念でした。
演技は皆さん最高でした。
作家性という曖昧な言葉で褒めそやすのは止めた方がいいです。
主人公の彼氏が「男だけど妊娠した」とウソをつきます。
SF設定なら面白そうだからその先を描いて欲しかったですが、SFじゃなかったので何故そんなウソをつくのかが全く意味不明です。
そんなウソを一体誰が信じますか?
ついた側のメリットがどこにも無いし、本当なら一緒に病院に行った時点でバレているはずです。
それがバレずに話がずっと先に進んで、実は……ウソでした。ではご都合展開過ぎます。
彼氏は間違いなくアホで、そのウソに振り回されていた主人公はもっとアホに思えました。
勝手に家に上がり込んで、アホ彼氏の肩を持って主人公に説教かます看護師も意味不明でした。
守秘義務違反だし公私混同が甚だしくて無理です。
その直後に主人公が明かした秘密、「実はピルを飲んでいた」もちょっと理解出来ませんでした。
主人公は妊娠したら彼氏と結婚する約束をしていたはずです。しかし、仕事にもやりがいを感じている。
仕事とプライベートを天秤にかけて両立が難しいからこそ葛藤していたはずなのに、避妊していたのならとっくに仕事を選んでいたことになります。
妊娠や結婚をしたくない彼氏ならさっさと別れりゃいいし、別に何も迷う必要はなかったはずです。
別れを言い出しにくかっただけなら彼氏から別れを切り出されてホッとして終わりのはず。
なのに、居なくなった彼氏を探し回るのも意味不明でした。
好意的に解釈すると「仕事をとるか? 結婚をとるか?」というベタな2択な話にしたくなかったのかも知れませんが、結果的には消化不良で何が言いたいのかよく分からないグチャグチャな話にしか感じませんでした。
ベタな二択を避けたなら終盤で仕事のトラブル対応に追われる、彼氏も探さなきゃいけない、みたいなベタな展開も止めるべき。中途半端。
サブプロットとして出てきたLGBTQなエピソードもメインプロットにうまく活かされていません。
仕事に悩んでいる主人公よりは、客観的に見て更に大きな問題だけにサブプロットを描くシークエンスでは主人公が生殺しでした。
その場にはいるけど、LGBTQな人の話をただ聞いているだけのモブに成り下がってます。
これなら、サブプロットをごっそりカットするか、別の比較的小さな事件をサブプロットに配置すべきだと感じました。
Web番組のゲストなんか誰でもいい。
あと、いなくなった彼氏を探すために何故かいきなり主人公が服を着たまま風呂に飛び込むシーンがありました。
で、次のカットが深いプールに主人公が沈んでいく幻想的なシーン……。
正直、見てみてキツかったです。
低予算で頑張ったとかどうでもよくて、監督がやりたい演出が先にあって、それを撮るため無理矢理にストーリーをご都合で展開させているからそう感じます。
脚本で登場人物の感情がきちんと流れているのなら、必然性が作れていれば風呂にでもプールにでも飛び込んでいいと思いますが、実際は主人公が突拍子も無い行動をしているだけです。
監督の演出が先にあって、主人公の感情行動が流れていないから、観客は共感できずに呆れて置いてきぼりになります。
役者も何を思って演じているのだろう?
監督にやれと言われたからやるだけなら役者ではないと思います。
そもそも脚本上で小さなウソが多すぎます。大きなウソは設定だからいいですが、小さなウソは登場人物の言動に矛盾が生じるだけで観客を白けさせます。
結論。
話がゴチャゴチャで何が言いたいのかも不明瞭で脚本が完全に破綻している低予算インディーズ映画を、作家性という曖昧な言葉で褒めそやすのは止めた方がいいと思います。
作家性という言葉が、どこを褒めていいか分からない作品や作り手を無理矢理褒める時の常套句になってしまっているのが嘆かわしいです。
追記。
5点満点あげてるのは捨て垢っぽいから完全に身内の書き込みだと思います。
しかも低評価付けた人間の悪口まで書いてる始末です。
>>おそらく友達が少なくて現実の社会を知らない人にはよく分からないんだろうなこの映画。その人の関わってる人や現実の見方が分かるリトマス紙になる映画でした。
作品は批評されて当然だし、作者の人間性は批判されていないのに、身内がネットで批評している人間の悪口をわざわざ書くという……
描き方が良くないので、この映画のテーマはきっと身内にも伝わらないんでしょうね。
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