「人に寄りかかることに有り難みを覚える、今の自分に刺さりすぎた1本」愛のくだらない たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
人に寄りかかることに有り難みを覚える、今の自分に刺さりすぎた1本
何だろう…自分の悶々とした感情の芯を思い切り喰ってきた。コメディテイストの中に鋭利なアンテナが沢山入っていて最後は何か泣いてた。笑
なんと言っても、野本梢監督のキャラクター作りが楽しい。結婚に踏み切れないカップルの物語ではあるのだけど、彼女の生き方の1つに過ぎない。だが、次第に一人で外堀を埋めていることに気づいた時の喪失感は共感しかない。楽ではあるが、楽しくないのである。自分も基本は一人で行動したいから、何か共に作業するときも何処か他人を省いている気がする。だからこそ生まれる孤独と有り難みが堪らなく、今なら分かる。
それに加え、読めない多方な展開と人間のユーモアを作り上げる構成力に感服する。藤岡麻希さんのパワフルでフレンドリーだけど、他人に寄りかからない感じとか凄く上手い。ななめ45゜の岡安章介のナヨッとしたバランスも絶妙。
そして何より、見るキッカケとなった村上由規乃さんがカッコいい。トランスジェンダーだから、と想起するイメージにハマらない、フラットな姿にほれぼれする。きっとそれも1つの狙いなのだろうが、そのアンテナの鋭さは天性のものかと思う。
そうしたキャラクターのバランスと何処に転がるか分からないユーモラスな展開が心をずっと刺激してくれた。
まだ自分、大学生なのにろくな大学の人間関係を開いてないな…なんて思っているこの頃に染み入るこの1本。誰でも気づきの1つは覚えるであろう、おすすめの作品。
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