幸せの答え合わせのレビュー・感想・評価
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あるべき場所
モノすごく綺麗な風景、海、町並、セブンシスターズと言う白い岸壁に癒されたが、見終わった後には なんだかドッと疲れたー。
白い断崖の上に立つ妻グレースは、視線はいつも目前の青い海、いつの間にか夫は崖の下。下の夫を見てない。それぐらい二人の心の距離は離れてしまっている事に気付けてなく、息子ジェイミーは、白い断崖が見通せる場所にいて、二人を不安そうに見ていると言うイメージだった。
他者の意見を聞くふりをするけれど、最終的に自分の思い通りにしてしまう母親。我々人間には、暴力性と自分本位と言う原罪があると言う。それを体現したような母親役アネットベニング、さもありなん、さすが名優と言うべきなのだが、この家族関係は、どうなんだろう。
長い間 自分の思いや意見をはぐらかされたり無視されたり受け入れてもらえなかったりすると、自分の心が相手から離れてしまうもので、自分の言うべき言葉を飲み込んでしまうだろう。
親離れも子離れも出来ていない機能不全家族というべきなのか。
久しぶりに自宅に帰ってくる息子が、自分を奮い立たせる様にしていた最初のシーンで、母親をちょっと苦手としているのが分かる。なのに、いい子ぶっちゃっていて、共依存の様にも見えた。
共に29年過ごして来て、既にお互いを思いやる術を持てなくなった夫婦。そんな緊張感のある家から逃げたはずの息子も、ある意味ちょっと人との関係性の在り方に不安を持っているように描かれていた。
夫婦はお互いに、自分の空間を持つユルさが有れば良かったのになぁ、って言うより、初めから立ち位置が違っていたのかもしれないな。セブンシスターズの崖のようにあるべき所で生きるってことなのかな、と思った。
俺らこんな嫁やだぁ〜💦
「えぇ息子やなぁ」…この素晴らしき息子を育て上げ成長させた事がビル・ナイとアネット・ベニング扮する熟年夫婦最大の幸せの答えではないのかなぁ?
…正直、妻の言葉のDVに夫が不憫で気の毒で…
安らげる相手が出来ても責める事は…出来ない
いや、むしろそんな相手が現れて良かったとさえ思えた
個人的にもあそこまで夫に毒を吐ける妻に同情の余地は全く無い…
そこまで腹立だしい感情に吊り上げさせる大女優ベニング!流石です!
予告編で期待した盛り上がりは薄かったが、穏やかな海辺の町シーフォードの風情ある入り江を散策してる気分に浸れたのは儲けモノでしたね
この家族それぞれの未来と余生が心豊かである事を願います
息子の憤り
観ながらイラっと。
名優二人の演技力と存在感で、両親それぞれの葛藤を魅せてくれてはいるものの、正直、熟年離婚の理由や動機などありふれていて、さほど新鮮味はなく。
自己中な母親と、コミュ障の父親にイライラさせられつつも。
この映画の肝は、両親(特に母親)に翻弄される息子なのではないだろうか。
正直、別人格なんだから、子が親にしてやれることなんてない。
せいぜい母が抑うつ状態の時に自殺しないように付き添ってやるか、父からの伝言を母に渡すくらいか。
共感力があって、優しい性格から、両親の離婚を我が事のように思うのは仕方ないが、実のところ親離れで来てないおこちゃまな弱い心でしかないのではないかと。
この息子の態度に一番イライラしてしまいました。
「親はいいけど、息子はたまったもんじゃねーよ!」
「両親の嫌な部分ばかり受け継いで、自分の恋愛がうまくいかないよ!」
って監督の恨み節が炸裂していたようにも感じ。
人のせいにしてないで、経済だけでなく精神的にも自立しろよ、みたいな乾いた気持ちで劇場を後にしました。
人に語らず感じるもの
イギリス南部海辺の田舎町で暮らす結婚29年の夫婦の別離の話。
一人暮らしをする息子が久々に帰郷した日、自己主張が激しく強い信仰心を持つ妻に、物静かな教師の夫が、限界だと、1年から他に女がいると告げて家を出ていく。
荒ぶりつつも未練たらたらな妻と、もう微塵も振り返る気はない夫。
間に挟まれた息子の親離れがどうのとかも話にあがるけど大きな変化なし。
そして出て行かれた妻は…なんかまとめ方というか立ち上がり方が急過ぎない?
男脳と女脳がイメージと違ってぐちゃぐちゃした感じがユニークではあったけれど、これといってドラマチックな展開がある訳でもなくて自分にはハマらなかった。
恋愛映画が好きな人にはハマるのかな…男と女が逆だったら日本でもありがちな感じもするし、アンジェラが存在しなければ、とも思ったけれど、まあそれはそれで。
4人目の主人公、hope gap
オープニング・エンディングを含め、あらゆるシーンで登場するイギリス南部の白亜の美しい海岸線、hope gap。有名なセブン・シスターズも途中に出てくる。
とにかくこの海岸線を含む街が息を呑む美しさ。これだけで映画の価値は数段上がる。恐らく息子の家はロンドンなんだろうけど、殆どのシーンがhope gapを内包するシーフォードの街なのもあの絶景を見れば納得。
勿論、アネットベニング、ビル・ナイ、ジョシュオコナーの3人の演技は白眉。特に、アネットベニングがかなり喋る役柄で、ビル・ナイとジョシュオコナーを困らせてるけど、それはそれで魅力だと後半に感じてくる多弁さがgood。
誰もが幸せになるような答え合わせは簡単ではない、というまさにhopeのgapを感じる余韻の残るラストが良かったです。
嫌いじゃないのに何で離婚するのだろうか…
夫婦で過ごしてきた時間軸『歴史』とその結果『思い出』と二人の間の『息子』というものがいて『幸せ』でありながらその先の『望み』を考えた時に離婚の選択肢を選ぶこともあるものなのですね。夫の防御的感受性と妻の攻撃的感受性の違いを変わっていく息子を通して捉えている点は興味深いです。
正直難しく、色々な考え方ができる映画でした。
どの登場人物から観るのかで感じ方が異なるのかなと…人は人と接することで自分の感情が出せるのかなと…
しかし、海に近く素晴らしく景色のいいところでした。
努力ではどうすることもできないもの
熟年離婚をテーマにしたドラマは、「妻が夫を捨てる」ケースが多い気がするが、本作はその逆。夫が妻に三行半を突き付ける。
劇中では明瞭にされていないが、著述業に携わっていたと思しきこの妻が只者ではない。ただでさえ寡黙で感情を露にすることのない夫を、信心深く、理論と屁理屈を交えて言いくるめるばかりか、一たび怒りに火が付けば手は出るし物に当たる。その感情の起伏の激しさを目にすれば、そりゃ夫の愛情が冷めるのも致し方ないかなと思える。
「円満な家庭や夫婦関係には努力が必要」と繰り返し言う妻だが、努力ではどうすることもできないものもある。
そんな夫婦の間で板挟みとなるのが一人息子だが、実は真の主役は彼。息子を通じて、家族として夫婦としての在り方を客観的に見つめる。
全体のルックからドラマから何から何まで地味だが、その分堅実な作りになっている。
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