犬は歌わないのレビュー・感想・評価
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撮影用の動物の扱いが気になった
宇宙飛行実験の為に人間に利用された野生のサルや野良犬、カメの末路や現代のロシアに生きる野良犬の生態を描いた作品。 作中、野良犬が野良猫を噛み殺したり、毒入りの餌を食べて死んだ犬の死体が出てくるが演技や模型なんだろうか?と気になりなかなかテーマに集中できなかった。 冒頭の宇宙実験に使われる予定だったサル。人間に懐いた為に野生に帰れず、衣服を着て家畜(見世物)として一生を終えたらしい。 人間に選ばれた野良犬は、過酷な訓練や身体改造され実験動物に。 そうでない場合は、害獣として社会の片隅で駆除される。 そして現代の人間社会に於いても、生産性がある(有益)か否か?で人が人に優劣をつける世の中になっていると痛感する。 野良犬たちの末路は、明日の我が身かも知れない。
人間の身勝手さに振り回される野良犬の運命
その昔、アメリカとロシア(ソ連)の仲が今以上に冷え切っていた頃、両者は何かとお互いを打ち負かしたいと思っていたそうですが、その中のツールのひとつとして『宇宙開発』があった―というのは、教科書上での知識です。確か。 で、その『宇宙開発』に当たり、有人飛行を叶えたいが、まずは動物から打ち上げてみよう。手始めに犬とか良いんでないかい―というのがライカ打ち上げの理由のようです。 ところで。 この映画の九割方は主人公の野良犬の目線で撮影されています。 野良犬が人語を喋ってくれるようなハートフルな映画ではないので、車を襲撃したり、道行く人にちょっかいをかけたりする犬の映像に、時たま人間のナレーションが被さるという具合です。 人間のナレーション曰く、宇宙に行ける犬は野良犬から選出される、と。 それも、ちょっとやそっとでは動じないような勇敢な犬が選ばれるとのことです。 そこで映像が切り替わり、スペースシャトルに乗る準備をする犬の、恐らくは実際の映像が流れる。 これ、かなりショッキングな映像です。 犬の地肌に直接、電極っぽいものが取り付けられる場面とかあります。 喉にガーゼが貫通するような場面もあります。 なんかナレーションは宇宙に行ける犬として選ばれることは名誉なこと、みたいな空気感出してますが、その後で軌道を逸れて戻ってこなかったスペースシャトルの話とかしてるので、まあ皮肉ですかね。 じゃあ、宇宙に行く犬として選ばれなかった野良犬はどうなるか。 この映画の終盤でちゃんと言及はありますが…なんて言うか、人間って本当に身勝手だなあと思いました。 なお、原題はSPACE DOGS。まんま。 邦題の『犬は歌わない』ですが、劇中によく出てくるカフェと映画館とバーの複合施設みたいなところで、水ばっか飲んでだんまりをキメる犬達の場面があるので(対比として娯楽を楽しむ人間達の姿も出ている)、その辺からかなあと。
邦題はなぜ?
子供のころ、ロケットに乗せられて帰還することのできなかった犬の話を聞いて、眠れなくなるほどショックを受けた。今、この作品で当時の記録映像を見て、犬たちの姿が気の毒に感じられるのだが、その夜はすんなりと眠りについた。この世は理不尽なことばかりだと感覚がだいぶ麻痺してきたのかもしれない。本当に犬の身になってみたら耐えられないことのはずなのに。
犬好きは楽しめるけど辛い・・・猫好きは見ないで!
映像とか音楽・音響が格好良くて、詩的な語りも非常に効果的。アーカイヴ映像との絡め方も見事なもので、作品としての質は素晴らしいものでした。 静寂な映像が続くため、強く興味を持てなければ、相当につまらん英三の垂れ流しにしか思えないかもしれません。 とはいえ、相当に粘り強くじっくりと撮影したと見てとれる犬たちの映像は一見の価値ありと思えました。 しかし、多少過剰な演出と感じるところも見受けられ、ドラマチックに仕立て上げようという意図がかえって裏目に出ているような…まぁでもその演出には凄く引きつけられてしまうのですが… 犬の仕草やコミュニティーを観察して楽しむことができますが、きつい映像も結構あるといったところでしょうか。スペースドッグというのは、メインのようでいて、実はそれこそが過剰演出なのかも─そしてその効力は絶大です。
僕には難しすぎました。
犬の視点で社会を描く? 犬の視点で人間を描く? どーなんだろ?描いていたかな? 宇宙に初めて行った野良犬ライカと 現代に生きる野良犬を映します。 うーむ、ライカのアーカイブ映像は なかなか興味深いけど、社会を描いて るのかな? 僕の理解では、自身の勝手で生き物の 生き死に自由にしてる人間のエゴを しか見えなかったな。 そのエゴは過去も今も変わらない。 そして、野良犬の逞しさも変わらない。 人間って残酷だよな、やっぱ。 って感想どまりなんだな。 こー言うテーマじゃないよなー きっと。もっと奥深そうです。 けど、僕には伝わってこなかった。 だから、これが面白い作品か? と言うと面白くはないです(笑) アートっぽい、哲学っぽい作品で、 正直ちんぷんかんです(再び笑) ですが、映像はカッコいいです。 野良犬に寄り添うような映像を 良く撮れたなーと。 光と影の映像が良かったかな。 本当に良くわからないから、 感想がこれくらいしかないんです。 あ!猫好きの方は見ない方が良いです。 気をつけなければならない映像あります。
犬の生活
宇宙に最初に行った生物となった「ライカ」。そして現代ロシアにおける野良犬。両者を対比の両端に置いた生物ドキュメンタリー。 この映画の感想としては的はずれなのは重々承知の上で言うと、野良犬がうろつきまわっている地域というのは申し訳ないけど健全な社会に見えない。日本にもかつて野良犬はいたしわたしも幼い頃には見かけていたけど、最近少なくとも都市部ではまず見かけることはなくなった。犬というのはその気になれば人間にだって致命的な危害を加えられる動物だし、結構恐ろしい生き物ではある。映画の中でも、おそらく戯れに猫を噛み殺したりしていたが、身近にいながら充分な殺傷能力を持った生き物であることには注意を払う必要がある。 映画は淡々と野良犬の生活を見つめている。合間合間で宇宙開発時代の犬の実験風景が挿入される。元々はそちらに興味があって見に行ったので、野良犬の生態を延々と見続けることになるとは思ってもみなかった。それはそれでまあ悪くはなかったが、もっとライカを始めとした宇宙犬の話が見たかったというのが正直なところではある。
2本立て映画
原題は「スペース・ドッグズ」だが、作品は、 ・過去の“宇宙犬”の訓練および宇宙飛行に関する、白黒のアーカイブ映像 ・現代のモスクワの「野良犬」を映した、カラー映像 の“2本立て”で構成され、宇宙に関係するのは、その片方に過ぎなかった。 それぞれが脈略もなく、入れ替わり立ち替わり出てくる。 「たくましく勇敢な“野良犬”のような犬こそが、“宇宙犬”に向く」というのだが、両者の関連性としてはたったそれだけだ。 「ライカは霊として地球に戻り・・・」なんて宣伝文句にも、全く中身はなかった。 呆れるくらい関連性がないので、「どこが“新感覚のドキュメンタリー”なのか?」と思う。 ただ、面白くなかったかいうと、そうでもなかった。 要は、“2本立て映画”と割り切れば良い。 過去の映像では、もう“動物虐待”としか言いようのない世界が繰り広げられる。 だが、牛豚鶏を常食し、モルモットで科学実験をしている我々に、批判する権利などないだろう。 現代の映像では、野良犬の目線の高さで、野良犬に密着する。野良犬でも、人間に馴れた個体なら、それほど撮影に苦労はないだろう。 かつての日本には、都市部にも居たのかもしれないが、自分はほとんど野良犬は見たことがない。 それだけに、野良犬の世界は、新鮮に目に映った。 自分には、野良犬が“人間そのもの”に見えて仕方がなかった。飼い犬よりは、よっぽど人間に近いのではないか? 時にはジャレ合うが、しかし互いに警戒心は怠らず、これといって助け合うこともない。 半ば必要性から、群れているだけなのだろう。基本的に、あるがままに孤独である。 行動は気まぐれで読めないが、他人が何を考えているか分からないのは、人間も同じだ。 過去の映像または現代の映像の各々では物足りないが、“2本立て映画”として合計で見れば、充実した内容であったし、オリジナリティのある作品だ。
猫が好きな人は見ないほうがいい
ライカの話は四半世紀ぐらい前にとある薄い本で知って、以来なんとなく心に引っかかっているモチーフだ。なので、この映画の存在を知って、絶対に劇場で観ようと意気込んでいたんだけど、期待とはだいぶ違った。思ったよりライカにフォーカスしてないし、勝手に期待した詩情のようなものも排除されている。 ライカが宇宙へ送り込まれた時代、ソ連が宇宙開発のために犬たちに何をしたかという記録映像と、現代のモスクワに生きる野良犬たちを捉えた映像が交互に。センサー類をひどいやり方で体に埋め込まれた犬たちが、それでも尻尾を振って職員に寄っていくのがせつない。現代モスクワ編のほうは、実はライカの魂が今もさまよっているという噂がある、みたいにつなげてたけど、うーん。 やっぱり作った人ちょっと中2病的。猫のシーンをあんなに長く映すの、映画にとっていいことだからそうしているわけじゃなさそうで嫌な感じ。 ぼそぼそしたナレーションは好きだった。
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