ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイのレビュー・感想・評価
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中盤の珠玉のシーンに触れるだけでも意味がある
ビリー・ホリデイを映画化するのは非常に難易度の高い挑戦だ。生まれてから死ぬまで、人生のあらゆる部分が重要すぎるし、かといって全てを満遍なく描くとエピソードが散漫になる。重要なのは「どのように焦点を絞るか」。その点、楽曲「奇妙な果実」の知られざる誕生秘話とそれをめぐるFBIとの攻防をピンポイントで伝える本作の視点は、彼女の人物像に迫る糸口として極めて有効だ。そして最大の見所は中盤付近で、前触れもなくワンカットで訪れる。「奇妙な果実」の精神性を芸術性豊かに描き出したこの場面は見応えがあり、ここを境にビリーの覚悟も確かなものとなっていく。名匠リー・ダニエルズらしい力強い場面だ。惜しいのはせっかくのドラマティックな筆運びが、男女間のもつれや薬物の問題などで、少し間延びしたように感じられること。主演アンドラ・デイの存在感が素晴らしかっただけに、何かもうひと盛り上がりあれば、と願うのは欲張りだろうか。
反戦を訴えたジョン・レノンも米政府の弾圧と闘った
米国における黒人差別と闘った音楽アーティストの伝記映画としては、近年の「ジェームス・ブラウン 最高の魂(ソウル)を持つ男」や、アレサ・フランクリンの半生を描いた「リスペクト」などが記憶に新しい。2013年以降のブラック・ライヴズ・マター運動に呼応する映画人の動きという一面もあるのだろう。ただし活動した時代で考えると、JBやアレサの先駆的存在がビリー・ホリデイだったことが、本作を観るとよくわかる。
彼女の代表曲「奇妙な果実」の歌詞が黒人へのリンチを歌った内容(暴行されて木に吊るされた黒人の遺体を、“果実”にたとえた)であることは知っていたが、黒人社会への影響力を恐れたFBIから標的にされたのは本作を観るまで知らなかった。思い出したのは、ジョン・レノンがビートルズ解散後にニューヨークに移り住んだ1970年代、ベトナム戦争に反対し平和を訴えたことで、ニクソン政権下のFBIから盗聴や国外退去といった嫌がらせや弾圧を受けたこと。自由の国を標榜する一方で、平等や平和を訴えて体制に異を唱える人間に対して政府機関が圧力を加えたり攻撃したりという、あの二面性は一体何なのか。
ともあれ、ビリー・ホリデイの通称“レディ・デイ”から“デイ”を芸名につけたという歌手、アンドラ・デイの運命とも言うべきビリー役での主演起用だ。「奇妙な果実」などの魂のこもった歌唱が素晴らしいだけでなく、麻薬、アルコール、DVなどに苦しんだ過酷な状況も迫真の演技で体現している。「プレシャス」のリー・ダニエルズ監督らしく、アーティストを神格化するのではなく、精神的に弱い部分もしっかり描いて一人の人間のありようを示すからこそ、国家という強大な相手に屈しなかった偉業がいっそう光り輝いて見えるのだろう。
映画としては
正直、見てるのキツいかなぁ。構成と言うか、つぎはぎ感が強く、ドラマの総集編を見ているみたい。アメリカの歴史や、ジャズの音楽だけではなく、ミュージシャン等にも詳しい人なら分かるんだろうけど。
制作者が力を入れたのは、冤罪を作ってでも「奇妙な果実」を歌わせたくない警察側の姿と、それに対峙翻弄されるビリーの姿なんだろうけど、自分が一番印象に残ったのは、ホテルのエレベーターに乗ろうとしたビリーを「黒人は乗れません」と前を阻むのが、黒人青年のボーイというシーン。
自伝に架空はナンセンス
本作を純粋なビリー・ホリデイの伝記映画として物語の中心に対アメリカ政府?を題材に観ていて違和感しかないジミー・フレッチャーという架空の人物が登場する強引な脚色に萎えてしまう、成功済みの彼女から進んでいく話に申し訳程度に幼少期を少し挟み込むビリー・ホリデイを知らない人には不親切だったり、本作と合わせてドキュメンタリー映画『BILLIE ビリー』は必ず観てほしいと彼女に対しての色々な誤解が解けるはず??
ジョン・レノンもアメリカの敵として?それよりもジーン・セバーグに近いというかクリステン・スチュワートが彼女を演じた『セバーグ』を思い出したり。。。
演じる女優さん、歌唱力が抜群に本業は歌手で役者デビューの体当たり演技が良かったにしても過剰に思える濡場のシーンはやり過ぎかと、歌声や容姿、本来のビリー・ホリデイを本作から学び知るには、、、キッカケにする位の教材として!?
それぞれの想い・立場
アメリカの人種差別問題は今に始まったことではなく、いわば「古くて新しい問題」だと思うのですけれども。
彼女の時代には、今の比ではなかったのかも知れません。
古くは1930年代から始まったという公民権運動ですが、当局としては(その是非はともかく―否、普通に考えればそれが当たり前であるからこそ)運動が燎原の火の如く一挙に広がり、勢い余って社会が転覆してしまう(世の中がひっくり返ってしまう)ような事態だけは、何としても避けたかった筈ですから、運動の過激化には、当局は神経をすり減らしていたことに間違いはなかったろうと思います。
そんな中で「奇妙な果実」を歌い続けようとする彼女の気骨には、素直な感動を覚えます。評論子は。
彼女が歌っていた当時、彼女の周囲は、漸進的に事態を改善する動きであったようにも思われます。
例えば、(これは、どうやら本作での架空の人物のようではありますが)捜査官のフレッチャーが(彼女と同じ黒人でありながら)FBIという権力側の機構に食い込んだのは、そこで実績を積むことで黒人の地位を改善していこうと考えていたとも推察できます。
(FBIの側には「黒人被疑者に対する捜査には黒人捜査官が何かと便利だし、白人捜査官が直接にタッチする=手を汚さずに済む」という打算があったのかも知れませんけれども。彼女の拘束について、結果としては、白人であるアンスリンガー長官に、いいように使われてしまっている。〉
歌うことで急進的に事態を改善しようとする彼女の眼には、周囲の漸進的にコトを進めようとする同胞たちも、彼女に対する「抵抗勢力」に映ってしまっていたのではないかとも思われました。評論子には。
そうであったとしても、そうではなかったとしても、彼女の「生き様」ということでは、観ていて胸が痛くなりそうな一本ではありました。
公民権運動に対するそれぞれの想い・立場ということでは、佳作ではあったと思います。本作は。
<映画のことば>
政府は人権を忘れがち。
「自由の国」(のハズの)アメリカの暗部
9/11の直後、ジョン・レノンの反戦歌が放送禁止状態になったり、
いち市民がバーで反戦を口にしたらFBIが訪問してきたり、
キング牧師の私生活をFBIが調べあげてたり、
「自由の国」のイメージとはかけ離れたアメリカの暗部、恥部を描く。
特に人種差別。
現代でも警察による黒人差別が見られることを考えると、当時はもっとヒドかったのだろう。
それが分かる映画。
やはりアメリカ映画の良さは、こうした自国の暗部を描くところ。
日本ではこうはいかない。
奇妙な法案
可決に至らない…という事実より法律化させなければならない背景に疑問。どんな身分だろうとどんな人種だろうと、法律に関係なく行ってはいけない事は明らかだろう。
過去の過ちを認めて反省出来ないのが不思議…。
薬物を所持してた事に…しちゃう権力側のやり口を観てて、過去に捕まったあの人達もホントはこういうことだったのかも?……と妄想、何が真実かは判らない。
壮絶なビリーホリディの生き様だが、大まかな流れを観られたが詳細事情の説明が足りず、なんで?どういう事?……といった場面がチラホラ……理解力不足なのかも…。
興味深い生涯だが、……なんとなく観てて中だるみを感じた…。
迷路は同じ景色の繰り返し
幼少期の不幸な生い立ちと、苛烈な人種差別に苦しんだ不世出のジャズシンガー「ビリー・ホリディ」の半生を描く物語。
題名から、FBIとビリーの攻防メインのサスペンスだと想像しての鑑賞でしたが、上記の通り重厚な人間ドラマでした。
麻薬と男に溺れ、それが間違いだと理解しながらも、迷路のようなその生活から抜け出せないビリー。彼女の魂の悲鳴が聴こえてくるような、重苦しい映画でした。
50年代のアメリカでの人種差別。その悲惨さの知識はあるつもりでいましたが、このような映画を鑑賞すると、改めてその酷さを知ることが出来ますね。
ただ、映画としてはメリハリがない印象。「迷路のような・・・」は同じようなシチュエーションの繰り返しにも思えました。ここら辺は、ビリー・ホリディに対する思い入れ等も係るのかもしれませんね。
私的評価は普通にしました。
歌はとても良いが…
全体を通してビリー・ホリデイの歌唱シーンはとても良かったが、その他に関しては特筆すべき点はあまりなかったかな。
波瀾万丈な人生であったのはわかったが、流れが少々雑な印象で断片的に感じた。もう少しビリーの心境の変化等々丁寧に描いて欲しかった。現代社会との時代背景の大きな違いと、伝記モノだけにある程度忠実に描くとこうなってしまうものなのかもしれない。
そういった意味ではストーリーはやむなしとしても、音楽がとても良かっただけに、せめて映像さえもう少し凝ってくれたならば、ビリーの魅力と苦悩がもっと映えたのではないかと、ちょと残念に思う。
奇妙な果実
奇妙な果実という歌に凄い衝撃を受けた。この歌の出来た背景をもっと自分でも調べてみたいと思う。映画自体は、注射のシーンやsexシーンが多くあり、主人公も好みではなかったので評価低めです。
素晴らしいが故に、惜しい!と言わざるを得ないか・・
ミュージカル映画とか音楽系映画とか、自身が大好きなので?辛い評価になっちゃったのかも?知れないけど・・。
表題通り→『惜しい!』映画だと思う。
組み立て?脚本?もう少し、やりようが有ったのでは無いか?
昨今の日本で、テレビのタレントさんが不倫不貞を中心にした不祥事起こして、出られなくなったりしてるけど・・
本作みたく!!!
タレント(英語でタレントは才能て意味)さんに、一般常識は要らないと思う。
狂気の向こう側に行くのは流石にアレだけど?
狂気の境目に近付く位までの人間性の破綻は有って良いと思う、令和の今でも!
実在のジャズシンガービリーホリデイは?
セックスにもドラッグにも、だらし無く、人間性も破綻してる。
だが歌は素晴らしい!!!
(*本作は口パクで実際の音源か?と思ったら、役者さんがプロな方で、実際に当ててるらしい。)
奇妙な果実】こんな歌だったんな、知らなかった・・。
ーーー
デートで見たい度】☆ゼロ
見た後に重い気持ちになる度】☆③(ちな⑤が満点/尚ダンサーインザダークを⑩とする!)
でも見て欲しい度】☆④
組み立てや脚本が今二歩と書いたけど、事実を知ってて、尚且つ映画経験値の高い方なら、脳内補正出来るレベル。
DVD100円レンタル基準で☆③〜④、素晴らしい映画に思います(惜しいけど)。
名曲『奇妙な果実」に端を発した政府の卑劣な「リンチ」
本作は世界的ジャズシンガー「レディ・デイ」が歌う人権の歌を
めぐる国家との闘いと彼女の壮絶な半生を描いた作品。
ビリー・ホリディの「痛み」と「奮闘っぷり」がよく描写されている。
この映画を観た人ならば、彼女の本当の魅力は「歌声」もさることながら、
「歌」に込めた想いの強さだと感じずにはいられないはずだ。
いまだ根強い人種差別の中、闘いと被害は続いている。
しかし、彼女が残し、守り抜いた「遺産」は
とかく人民の権利と痛みを忘れがちな権力に抗う「力」を与え続けることとなるだろう。
『奇妙な果実』に込められたメッセージを聴け
『リスペクト』のアレサ・フランクリン同様、名前だけは聞いた事あるものの、詳しくは知らない。おそらく曲を聞くのも初めて。
公民権運動黎明期の1940年代のアメリカで、歌でアメリカ政府と闘ったレジェンド・シンガー。
ビリー・ホリデイ。
その楽曲『奇妙な果実』は人種問題を告発したような歌で、劇中でも披露されるが、かなり衝撃的な歌詞。“奇妙な果実”とは木から首を括られ吊るされた黒人を指し、その悲劇や残酷さを訴える。
それ故公民権運動を煽るとして、政府からマーク。ビリーにはクスリの疑いがあり、それ共々逮捕を目論む。彼女の下に囮捜査官を派遣までして…。
ズバリ言ってしまおう。治安や保守など建前。国家ぐるみの人種差別。
歌う自由を奪われ、遂に逮捕されながらも、ビリーは歌う事を諦めない。
それは自由と、自身の信念と、人種平等への力強い声。
伝記映画は大抵、幼少時代から始まり、ブレイク、挫折などが典型だが、本作はシンガーとして絶頂期の私生活の苦悩、政府との対立に重点が置かれ、昨今のシンガー伝記映画とは切り口を変えている。
彼女の歩みも勿論だが、ビリー・ホリデイという人物個人の内面、不屈の精神に時間を割き描きたかったのだろう。
本作で映画初主演のシンガー、アンドラ・デイの渾身の熱演は圧巻。
歌唱シーンは言わずもがな、文句の付けようがない。
アンドラの熱演やビリー・ホリデイ本人の苦闘は称えられるもの。
が、偉人とその偉業が必ずしも名作にはならない。
その典型的な作品でもある。
勿論悪い作品ではないが、興味や知らない者にとっては退屈にも感じる。メリハリや盛り上がりにも欠け、よく言って平淡。
実は歌唱シーンもそんなに多くはない。『ボヘミアン・ラプソディ』や『エルヴィス』のようなエンタメ性も乏しい。
玄人好みの作品。
タイトルは“合衆国対ビリー・ホリデイ”の見応えありそうな題材を連想させるが、それと並行してプライベートにもフォーカス。
クスリや酒に溺れ、男関係、仲間との不和など重たい内容を延々見せられ、気が滅入ってくる。
これじゃあせっかくの“合衆国対ビリー・ホリデイ”というより、典型的なシンガー伝記映画。
結局ありきたりの枠から抜け出せなかった。
『リスペクト』と同じ締め括りになるが、ビリー・ホリデイがどういう人物で、何をしたか知れただけでも。
衝撃的なのはOPとEDの文章。本作が全米公開時はまだ未成立。つい最近、今年3月に成立されたという。
反リンチ法。
アメリカの人種差別の闇は恐ろしく深い。
黒人解放を後押しした歌手
1940年代、人種差別の撤廃を求める人々が国に立ち向かってた頃に、アメリカ合衆国政府から反乱の芽を潰すよう命じられていたFBIは、絶大な人気を誇る黒人シンガー、ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」が人々を扇動すると危険視し、彼女をターゲットにして、おとりとして黒人の捜査官ジミーを送り込んだ。しかしジミーは、人々を魅了するビリーにひかれ、次第に彼女に心酔していった。しかし、FBIの仕かけた罠や陰謀は・・・という話。
歌手なのにタバコをスパスパ吸い、酒は飲む麻薬は打つ男は・・・てな具合で人物的には全く共感できなかったが、彼女が10歳でレイプされ、母は売春で生活してて、生きるために彼女も売春をしていて、となかなか壮絶だなぁ、と思った。
そんな環境で同じ歌手のアレサ・フランクリンと重なるなぁ、と思って観てた。
奇妙な果実の歌詞は当時の黒人虐待を表したもので、この歌のおかげで黒人解放がすすんだらしい事を知った。
アンドラ・デイは歌うシーン、タバコを吸うシーン、セックスのシーンなど熱演だった。
反リンチ法は成立してまっせ。
調べたら、2021年3月29日ですね。バイデンが署名し連邦法として成立。これによりヘイトクライムと認定されれば、最長30年の禁固刑が課せられる加重懲罰法です。問題はヘイトクライムの判定基準が無いに等しい事と、一方向にしか機能しない事。
黒人への暴力と、白人への暴力の懲罰には、懲役30年の差がある、って事になってしまいました。既にリンチ、関係なくなってますしね。BLM団体はバイデンに選挙協力への見返りを要求してましたから、コレはその一環と言う事でしょうか。
人種に関係なく、アフリカ系アメリカ人とアメリカでトラブルになったら、反リンチ法で訴えられる可能性があります。暴力は関係ありません。で。BLM系弁護士が飛んで来て仲裁してくれると。どっかで見た構図だよーw
さてさて。
これは音楽映画としては良かったです。既に、悲劇や弱者の政治利用が度を越したアメリカですから。物語りとしての刺さりは、浅かったです。
アメリカ白人の一部はどうして何時までたってもアフリカ系アメリカ人への差別・憎悪を持ち続けるのだろうね。自分達が連れてきたり買ったりしたのに。日本人には理解出来ないアメリカン・ミステリーの一つ。
①アンドラ・デイがビリー・ホリディが乗り移ったような熱演。②1972年製作のダイアナ・ロスの『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』と観比べてみたいね。③2020年まで「反リンチ法」が上院・下院を通らなかったことは知らなかったので(勉強不足だ)アメリカにおけるアフリカ系アメリカ人への偏見の根深さがわかります。あと、過去の過ちを素直に認められなかっのでしょうね。当事者世代が皆亡くなってやっと認める気になったのでしょうか。④公民権運動が1930年代から始まっていたとはこれも知らなかった(更に勉強不足)。「これは困ったことになった」と“お上”が慌てていたところへ『奇妙な果実』の大ヒットだからね、とにかく歌を封じ込めようと歌手に弾圧のターゲットを絞る考え方は分からないでもないが、『奇妙な果実』は元々ビリー・ホリディのオリジナルではなかったし、歌は「一度世の中に出ると当局がどれだけ禁止しようと歌い次がれていくもの」ということは理解出来なかったのだろうか?まあ、分かっていたけど自由主義を掲げるアメリカでは流石に今の中国やロシアみたいに情報管理・統制できないので歌手を苛めるくらいしか考え付かなかったのでこんな姑息な手に出るしかなかったのだろうな、情けない。死ぬ前にビリーがアンスリンガーに言った「あんたの孫(の世代)が『奇妙な果実』を歌うよ」という台詞は印象的。実際に言ったかどうかは分からないけれど、歴史はその通りになったもんね。⑤白眉は、ツアーの途中で小用?を足しに言ったビリーが、“家を焼かれ、リンチされた末に首を括られて木から吊るされたその家の主婦とそれを降ろそうとしている父親に「早くママを下ろして上げて!」と泣き叫ぶ少女たち(自分の母親があんな目にあったらどう思うかと考えれば胸が張り裂けそう)の光景を見てショックを受けて狂乱・錯乱したあと、劇中で始めて『奇妙な果実』をフルコーラスで歌う”までの長いワンショットで撮ったようなシーン。ここを観るだけでもこの映画を観る価値はあると思う。⑥惜しむらくは、アフリカンアメリカンへの差別・偏見・虐待の問題と、アルコール依存症・麻薬依存症に関する問題(そもそもこの映画は「Chasing the Scream (麻薬と人間100年)」という本が元ネタ)とがビリー・ホリディの人生を描くなかで上手く融合出来ていなくて視点が分散されてしまっていること(それで映画の印象が散漫なものになってしまっている)。それでも、アンドラ・デイの熱演を讃えて⭐一つオマケします。⑦タルーラ・バンクヘッド役の女優があまり似ていないのとタルーラの個性を上手く表現出来ていないのも物足りない。⑧フレッチャー役の役者は『ムーンライト』の男の子(成人した後)だったんですねェ。⑨歌としては「Lover Man」を入れてくれたのは嬉しかったが、個人的には「Crazy He Calls Me」も歌って欲しかったな。
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