「ビルはユダ!」ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
ビルはユダ!
チェアーマン フレッドの何を描くのか気になって観ることにした。私は誰が裏切りものかを知らない。FBIがいまだに証拠を隠しているが問題になっているのは聞いたことがある。
キリストを裏切ったユダだが、裏切ったのはピーターもだし、メサイヤ、フレッド ハンプトンを裏切ったのは絶対一人だろうとか馬鹿なことを考えながら観ることにした。もう一つは、友達からの推薦映画で、これが、キリストを間接的に十字架にかけたユダの心理状態か
も探りたかった。
なぜ、ここシカゴでブラックパンサーの勢いが強まったかと言うと、当時、シカゴは第2の大都市で、公民権運動が通り、ジムクロー法が撤廃になった言っても、以前のままで貧富の差のある大都市であったらしい。個人的にシカゴを10年前訪れているが、シカゴのユースホステルに泊まって、地域を電車を使ったり、歩き回ったりした私にとって、人種の貧富の差だけではなく、例えば、白人地域でも経済格差がはっきりしている。電車で動くと、貧困地域、高級地域と塊で見られる景色があり、強烈な印象を与える。
個人的によく差別を受けるが、シカゴでの差別の経験もある。
この映画では、ユダのキリストへの裏切りが、ビル オーニールの裏切りとよく重なっているところが見どころの様な気がする。オニール(LaKeith Stanfield)役をする有名な俳優でもラッパーでもある人の、秘密を隠していると言う目の動きが表情と重なって大変良い。演技が上手。キリストはユダの行動を知っていたが、フレッドは知っていたのだろうか?オニールは守衛のトップとしての地位まで上り詰める。ブラックパンサーの仲間が、オニールがFBIのバッジを持っていた事で疑うが、上手に切り抜けている。FBIにも加担して、ブラックパンサーにも加担しているこの心理状態は尋常で無い。それが、罪の意識でフレッドの出所のために先陣を切って、爆破された部屋を直したり、FBIのボスのロイのためにも手を震わせながら、フレッドの住まいの見取り図を描く。彼が、手放しで喜んだり、笑ったりするシーがなく、いつも怯えている。いつか裏切り者と暴かれるのではないかと。
フレッドは十代の後半でチェアーマンとなっているが、シカゴにクリックして住んでいる黒人系、ラテン系、白人の恵まれない貧困世帯の共同体である、レインボーコーリションを作り上げるための交渉上手だ。人種でなく格差だと言うアプローチで白人やラテン系地域に臨む。この思想が、またアメリカ政府(ニクソン)の危機感をつのらせた。当時はベトナム戦争で、反対運動や共産党のベトコンの脅威があるし、公民権運動でキング牧師、マルコムxが殺されたことの恨みがあることを政府は受け止めているし、それに、ブラックパンサーはシカゴだけの動きじゃない。中国やロシアの脅威より、フレッドを危ないと警戒している事がわかるが、国内の動きに社会主義が広まると困るのはニクソン政権(EBIの長官フーバー)だ。フレッドは若者を育成している。フリーの食事や医療費無料などもこれらは社会主義の根本だから。説教の仕方も説得力があり、思想がであり、経済的社会正義で、カリスマ性もあり、キリストとかぶる気がする。はっきり言って、彼の思想は今、現在アメリカで起きている改革なのだ。フレッドが先見の明があり先取りしているだけだ。彼は21歳で射殺されている。妻も息子も公民権運動かであると。
しかし、映画が長すぎて、退屈感が増す。タイトルから先が予測できる映画だし、
ブラックパンサーも知名度が高いので FBIの悪質な捜査に焦点を置くべきか、チェアーマン、フレッドのカリスマ的功績に焦点を置くべきかして欲しかった。しかし、2020年代でブリアナテーラーのように無実であり、夜中警察に襲われ射殺されているから、フレッドの無実の射殺を再認識して欲しいと監督は思っていると思う。
監督はシャカキングはよく言われる言葉で言うとエリートだ。彼の経歴から察するに、問題意識の高い環境で育てられたのかもしれない。
When I dedicated my life to people I dedicated my life. これはフレッドが言った言葉。すごい!!