「今日はいったい、何に懸ける?」真夜中乙女戦争 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
今日はいったい、何に懸ける?
2022年1月22日追記
2022年2月3日 コメンタリー上映で2回目の鑑賞
予告、面白そう。結構期待。その反面、どうせ薄っぺらい映画だろう。だって、ジャニーズ映画だもん。
これがこの映画に対して見る前の感想でした。めちゃくちゃ面白いか、めちゃくちゃ面白くないか。そのどちらかだろうなと思った本作。
そして、蓋を開けてみたら...。
めっちゃくちゃ面白かったです。
期待はしていたものの、ここまで面白いとは思わなかった。もうびっくりびっくり。
この映画を一言で表すとしたら...表せない。
要するに、唯一無二の映画です。度肝を抜かれました
監督の芸術的、文学的センスが光りまくっている。とんかつDJアゲ太郎は全然面白くなかったのに。本当に同じ監督が撮ったの??こんな映画が撮れるのか!二宮健監督にこれから目が離せません。
初っ端から大ハマりしてしまう演出。
酔いしれる独特なカメラアングル。
カッコよくて痺れるオシャレな音楽。
ああ、全てが好き。開始1分で世界観にどっぷりと浸かり、開始5分で愛おしくなり、開始10分で大好きになった。段階を踏みながら、じわじわと面白さが増していく。少々引っかかる点や雑な点はあったものの、これらのおかげでそこまで気にならなかった。
切り替わりとか視点とかが美しすぎるんだよ。
オシャレでゾッとする。私と先輩のとあるシーンの切り替えが思わず「うぉっ」と言いそうになるほど、なんだか分からないがセンスがあって面白かった。
ストーリー自体、すごく良かったので原作もさぞかし面白いのだろう。映画終わってから買おうと思ったが、あいにく閉まっていたので買えず。
映画化して大正解の作品だとも思った。映画館で映える。もう1回、映画館で見たいな。
そしてさらに良かったのは3人の役者。
〈私〉役の永瀬廉。
「うちの執事が言うことには」で初主演&映画デビューを果たした永瀬だが、あの作品は映画としてのクオリティもそこまで高くなく、演技も初めてということもあって棒読み感があり、キャラクターを演じているように思えず永瀬廉そのまんま過ぎた。
「弱虫ペダル」では、映画はなかなかよく出来ていて面白く、永瀬も地に足着いた感じがしてそこそこ良くなっていた。だが、やはりまだ役に乗り切れていない感じ。演技をすることに精一杯で自分の良さが引き出せていない印象を受けた。
そして、本作。もう、文句なしだった。役者として多大なる成長を遂げていた。彼の良さが最大限発揮されており、私という役を自分のものに落とし込み見事に演じきっている。カッコよくて気持ち悪くて変態的。めっちゃ上手いじゃん、演技。ジャニーズだからともうバカにする必要は無い。ハマり役だったし、役者として格段に良くなっていたし、単純にめっちゃ好きになった。早口で先生を抗議するシーンや落ち着きながら先輩と会話するシーン、驚きと楽しさが隠せず黒服と絡むシーン、どれもこれも永瀬廉だからこそ素晴らしいシーンになっていると思う。圧倒されました。
〈先輩〉役の池田エライザ。
もう雰囲気から顔から声から何もかも好きな役者なのだが、本作では今まで以上に魅力大爆発。「騙し絵の牙」「賭ケグルイ」の時もかなりいい演技をしていたが、本作は演技どうこうと言うよりも、池田エライザという人物のカッコ良さがひしひしと伝わった。届きそうで届かない何故か憧れてしまう優しい先輩。映画化されず小説で読んでいたとしても、こんな女性を想像しながら読み進めていく気がする。そのくらい彼女もまたハマり役だった。永瀬廉ファンにももちろん見て欲しい映画だが、池田エライザファンにもたまらない映画だと思う。
〈黒服〉役の柄本佑。
「先生、私の隣に座っていただけませんか?」ではあんなに面白かったのに、本作では独特で恐ろしく悪魔的なオーラが漂っていて、改めて役者ってすげぇなって思いました。何を仕出かすか、何を言い出すか、何を考えているのか全く読めないこの人物。妙で不気味で近づきたくない。けど何故か引き寄せられる。こんな役を完璧に演じれる柄本佑。凄まじいな、本当に。話し方や仕草を自由自在に操る千両役者。殺すなも楽しみだな。
3人のキャラクター。
どの人物も謎めいている。名前も好きなことも深い過去も何も分からない。なのに、魅力的。描き方や見せ方が上手いのか、愛おしくてたまらない。役者の良さを限界まで引き出している監督に脱帽。主な登場人物は3人なのにこんなにも濃密な作品になるんだな。
他にも挙げればいいところはたくさんある。
主題歌がKing&Princeでは無くビリーアイリッシュで、しかもその曲がこの映画と超マッチしていたり、犯行をして逃げるシーンが疾走感と緊張感があってテンション上がったり、池田エライザの歌声が透き通ってて最高だったり、ラストシーンが言葉にできないほど良くて終わらせ方も鳥肌立つほど衝撃的で感無量だったり...。キリがないほど、だ。
人生、つまんねぇな。
なんのために生きてんだろう。
普通に生きるって幸せなんだろうか。
この映画の世界は、今私たちが生きている現実世界とは別のもうひとつの世界なんだろう。
文学的な映画は嫌いだが、本作は大好き。
説教臭くない、何故だか説得力がある。
私の語彙力ではこの映画の良さを伝えることに限界があるので、ぜひ騙されたと思って見ていただきたいです。
恐らく、私は一生この映画が好きでしょう。
見たい時に見たいのでこの作品のDVDは必ず買います。愛すべきものが詰まった宝箱のような映画でした。最っ高!
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鑑賞から一日が経過しました。
余韻に押し殺されそうです。
予告をまた何度も見まくって、また見たくなった。
あの雰囲気にずっと浸かっていたい。
どうやら、全体評価はそこまで良くない模様。
確かに、突拍子が無かったり疑問を抱くシーンがあったりするし、何よりストーリーに共感できない人が多くいる気がします。絶賛する人が少ないのも何となく理解出来る。けど、私はこの世界観が大好きで大好きで仕方ありませんでした。安易に人におすすめできる大衆向けの映画ではありませんが、ハマる人には大いにハマる映画であることにも間違いないと思います。実際、私もその一人ですし。
でも、よく考えればこれジャンルなんだろう。
サスペンス?恋愛?コメディ?ドラマ?カルト?
この何が何だか分からない作品なのに、品とまとまりがあって滅茶苦茶になっていないのが凄いよな〜。芸術点が高いのです。誰にオススメしたらいいのかな笑
最初から最後までテンポがいいし、面白いし、興奮する。「私」は「先輩」に惚れるけど、私はこの映画に惚れました。こういうことだと思うんだよな、映画って。映画は芸術。こういうのが見たかった。これと「恋する寄生虫」がどことなく似ている気がする。私の癖に刺さります。
2回目は小説を読んで鑑賞したいと思います。
まさか、コンフィデンスマンJPとは別に2回目見たくなる作品が出てくるとはな。それも同じ月に。
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結局、時間が無くて原作は読めず2回目の鑑賞。
今回は初めてコメンタリー上映に挑戦。これ、映画の邪魔になるんじゃない?と思っていましたが、意外とそんなことも無く、映画の内容も4人の会話もすんなりと入ってきて、2回目も非常に面白かったです。
コメンタリー上映と合わせてレビューを書いていきたいと思います。
やっぱりすごいのが、本当に時間を感じさせない。
特段、内容が濃ゆい訳では無いのだけど、カメラワークや照明、小さな小ネタ、ファッション、音楽、セリフなど見どころがたくさんあってずっと面白い。監督のこだわりが細かくて驚き、新たな発見もあってコメンタリー上映付きで見てよかったと思いました。なるほど、境界線か。
永瀬廉、池田エライザ、柄本佑、二宮健監督が各々好きなシーンを上げていたが、個人的には「私」と「黒服」がサングラスを付けて歩いてくるシーンがお気に入り。慣れないことをしている感じが可愛い。面接、逃亡後、ボーリングなど、テンポのいいシーンも多くて軽快でカッコイイ。
この映画、照明の使い方がカンペキ。
影になって話している印象的なふたつの場面。
あえて正面からでは無く、後ろから横から撮るのもまた粋。火とか水がこんなにも美しく見えるんだ。
評価は良くないですが、私は大好きな映画です。
コメンタリー上映で思ったのは、池田エライザの声が可愛すぎるということでした。