「若者なら刺さるのかな〜?」真夜中乙女戦争 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
若者なら刺さるのかな〜?
冒頭、大学教授に対して「私」がぶつける言葉が、とても印象的でした。たいへん失礼で不躾ではあるものの、的を射た質問と至極まっとうな主張であり、「私」の率直でやり場のない怒りややるせなさが伝わってくるシーンでした。と同時に、これまでの自分の生き方や、仕事に対する姿勢について考えさせられる、ドキッとするシーンでした。
また、そんな「私」に対してコーヒーを浴びせかけるしかない、苛立った教授との構図が、後半の「真夜中乙女戦争」の暗示や、作品全体の象徴のようでした。自分の思いや考えと相容れない相手に対して、つい攻撃的になり、力で抑えつけようとする人は、身の回りにも少なくありません。まして、両者の立場に上下関係があればなおさらです。
大人の作った枠組みの中に、否応なく嵌め込まれる「私」。それについて疑問を投げかけても、納得のできる答えは返ってこない。思い描いたような生活が送れず、心をすり減らしていく。そんな中で感じる孤独や息苦しさや閉塞感から抜け出したくて、学内で出会った「黒服」とともに、たわいもない悪戯を重ね、鬱憤を晴らす。…と、ここまではそれなりに共感しながら観ていました。
しかし、その後、「黒服」の企みに賛同する者が集まり始め、組織が徐々に危うい方向に傾いていくあたりから、気持ちがついていかなくなりました。「私」「黒服」「先輩」の3人を中心に展開していくのですが、それぞれの人物の背景があまり描かれず、思いや考えも台詞でさらっと語られるだけで、その内容も哲学的で意味がよくわかりませんでした。そのため、行動の動機が理解できなかったり、心情の変化に寄り添えなかったりで、作品世界に浸れませんでした。ついでに言うと、全体のテンポもゆったりしていて、かなり眠気を誘われました。
とはいえ、ラストの映像は圧巻で、「真夜中乙女戦争」というタイトルはしっかり回収していたように思います。逆に、予算の大半をここに注いだのではないかと思うほど、他のシーンに魅力がなかったのは残念でしたが…。そんなわけで、自分には合わない作品でしたが、果たして若者なら刺さるのでしょうか。若い方のレビューが気になります。
主演の永瀬廉くんは、朝ドラでの活躍が記憶に新しいところですが、本作でも鬱屈とした「私」を好演しています。池田エライザさんも、かわいらしさと不思議な魅力が同居したような「先輩」役が素敵でした。そして、不穏な空気を醸し出す「黒服」役の柄本佑さんは、怪演が冴えわたる秀逸な演技でした。ストーリーはともかく、俳優陣の演技はすばらしかったです。
今晩は
今作は評価が分かれると思いますが、二宮監督の作品としては、私は珍しく心に響きましたね。
映画って、観る人の感性、経験によって感想は変わると思います。
私は、今作の前までの二宮監督の作品は響きませんでしたから。
色々な観方がある事を許容したいですよね。
大先輩に対し、御無礼が有ったら御免なさい。
いつも、レビュー拝読しています。では、又。