劇場公開日 2022年1月7日

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「ニーソンが「凄腕スナイパーの元海兵隊員」という、割と”普通な”役に徹している一作。」マークスマン yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ニーソンが「凄腕スナイパーの元海兵隊員」という、割と”普通な”役に徹している一作。

2022年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

リーアム・ニーソン演じる元海兵隊の退役軍人が、メキシコから逃れてきた母子を救うためにカルテルの追っ手と死闘を繰り広げる、という非常に明確な筋立て。これが『極大射程』のスワガーなら追っ手を瞬殺したところでしょうが、ニーソンは銃の腕が立つ以外は「普通の」退役軍人であるため、どれだけ相手の裏をかいて目的地に逃れるのかに知恵を振り絞ります。

カルテル側はハッキング技術も駆使するし、米国内に工作員が浸透していることは示されるんだけど、追っ手はごく少人数。人出不足なのかな?とも思うけど、追っ手の一人が軍人であったニーソンをうらやましがるなど、人間味があるというか、屈託した感情を垣間見せるところが興味深いです。

ニーソンはすっかり枯れた役が似合うようになって、今回も『許されざる者』(1992)のイーストウッドを彷彿とさせます。それも無理からぬことで、監督のロバート・ローレンスはイーストウッド監督の主演が初監督作品とのこと。ほぼ同時期にイーストウッド監督作品『クライ・マッチョ』が公開されているため、師弟の競作という様相を呈しています。そういえば両作は設定がよく似ているかも…。

本作の底流にあるのは「責任と選択」の問題で、「自分の意志で選んだ道ではないが、この道と決めたのは自分だ」という趣旨の発言が何度か登場します。それである人物が選んだ行動が、本人にとって良かったのかどうかは分かりませんが、「引き受けること」の意義を前面に打ち出した点は興味深く感じました。

yui