「【”道は自分で選べ!”と“マークスマン”は言った。母を亡くした少年と、妻を亡くした男の逃亡ロードムービー。今作は、リーアム・ニーソン版「ボーダーライン」でもある。】」マークスマン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”道は自分で選べ!”と“マークスマン”は言った。母を亡くした少年と、妻を亡くした男の逃亡ロードムービー。今作は、リーアム・ニーソン版「ボーダーライン」でもある。】
ー リーアム・ニーソン父さんが、まさかのアクション映画「96時間」に出演し、大ヒットしてから、10数年が経つ。
「96時間」シリーズは、スリリングな展開や、リーアム・ニーソン父さんお得意の接近格闘戦の迫力で大ヒット。以来、彼はアクション俳優と、演技派俳優の二刀流を貫いている。
驚くのは、今年度も「アイス・ロード」を見たばかりだと思ったら、早くも今作である。
かつての様な、アクションは流石に減ったが、今作ではリーアム・ニーソン父さんは“マークスマン”(射撃のプロフェッショナル)というアクション少な目だが、見ている側には”充分です!”と言う位の存在感を出している。
大したモノだと思う。
リーアム・ニーソン父さんではないと、あの重厚感は出せない。ー
◆感想
・現代アメリカで、問題になっているメキシコ国境を仕切る麻薬カルテルのボス、マウリシロを裏切ったミゲルの叔父。叔父からは、ミゲルと母親も狙われると連絡が入る。
ミゲルの叔父は、カルテルにより”吊るされる”。メキシコ国境付近で牧場を営むジム(リーアム・ニーソン)は、偶々、ミゲルたちの逃亡の場所でマウリシロたちと銃撃戦になり、ジムはマウリシロの弟を銃殺してしまう。だが、ミゲルの母も帰らぬ人に・・。
- ミゲルは愛妻を癌で亡くし、失意の生活を送っているが、国境警備隊に娘サラがおり、父を精神的に支えている。
ジムがミゲルを、殺された母親から託されたシカゴにいるミゲルの親族に届けようと決心した思いが伺われる。-
・麻薬カルテルの、執拗な追跡。劇中では、彼らが国境を超える際に偽のパスポートで悠々と米国に入る姿や、米国内でも彼らに買収された警官の姿が描かれる。
ー 彼らの入れ墨を見て、関わらない方が良いと判断した、国境職員。
買収された警官の自業自得の最期。
ジムの”誇りをどこで捨てた!”と言うセリフが印象的である。
これらのシーンはどこまで、本当なのかは分からないが、強ち間違ってはいないのではないかと思う。一方で、メキシコからアメリカに逃げようとする貧民たちの姿も、哀切である。-
・最初は、相いれなかったジムとミゲルが逃亡生活の中で、寂しき者同士、徐々に心を開き、カルテルから逃げる途中に、カルテルに渡す筈だった金を”汚れた金だ!”と二人で、焚火で燃やすシーン。
ミゲルに射撃を教えるシーン。(ここが、ラスト、重要なシーンになってくる。)
泊まったモーテルで、クリント・イーストウッドの「奴らを高く吊るせ!」が流れるシーンは、監督の遊び心だろうか・・。
・どこまでも追って来るカルテルのボス、マウリシロ達。ジムは、逃げ切れないと判断し、車を田舎道に横に止め、ライフルを構える。
次々にカルテルの男達を捉えるジムのスナイパーショット。
ラストの、農場でのマウリシロとジムの一騎討ちのシーンが良い。
ミゲルを盾にするマウリシロに対し、ミゲルとジムの息の合った攻撃。
ジムに対し、燃やした彼の家で胸に入れていた海兵隊の勲章を渡すマウリシロ。
ジムは、その姿を見て、静に銃口をミゲルに向け、地に置き””道は自分で選べ”と告げ、去る。鳴り響く銃声。
- ”マウリシロも、もしかしたら真っ当な道を歩んでいたのかもしれないなあ”と思ったシーンである。
そして、ミゲルを殺人者にしないために、ジムが負った傷。
ジムの優しさが心に響く。-
<ラストも、沁みる。
無事に、ミゲルをシカゴの親族に届けた後、満身創痍でバスに乗るジムの姿。
彼が、意識を失う前に頭をよぎった事は、何であったか。
ミゲルを殺人者にせず、新しき道へ導いたジム。
その姿は、
”生きる道を自分で選び、悔いのない人生を送った”
崇高な男に私には見えたのである。>
共生し、認め合う関係になるためにも、やはり短期ではない一定の時間が必要だとも思ってます。
晩成型の人ほど理解するのに時間がかかります。私の経験上はそうでした。
NOBUさんが提起されていた非正規の問題にも関係あると思うのですが、経済活動の殆どが短期の業績で評価されてしまうから、業績が可視化されるまで人より時間がかかるけれど気が付いたらいつの間にかその職場の理念とか業務フローの中心になる人って一定数は必ずいるはずです(マイ・インターンのデニーロのイメージに近いかな)。なのに、そうなる前に去らざるを得ない人がいったいどれほど、この国にいることか。
NOBUさんのコメントからそんなことを考えてしまいました。
NOBUさん、こんばんは。レビュー拝読してほのぼのしました。レイトショーは経験ないのですが映画が好きな人が行くのに決まってると思います。リーアム・ニーソンに出会ってとても嬉しいです。役者に惚れるタイプなので、またまた好きな俳優さんができて幸せです。