ブラックボックス 音声分析捜査のレビュー・感想・評価
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耳で楽しむ体感型サスペンス
「音だけで真実を暴く」というストーリーは『THE GUILTY ギルティ』のようなイメージをしていたが、音の解析には限界がありその点についてはあまり進展がない。それ以外の要素も組み合わせて真相に迫っていくスリラー。
ただ音にはこだわった作り込みで、耳にイヤホンをはめ込む音やノイズキャンセリングの質感も再現されていて、映画館はもちろんASMRのようにヘッドフォンでも楽しみたい映画。
思い込みの激しい主人公に振り回され推理が行ったり来たりするので、それを楽しめないと少し中弛みを感じるかも。
クライマックスは衝撃的だけど、推理が入り組んでいっただけに若干オチが弱かったかなという印象。
イカロスの神話の教訓には唸らされた。
「太陽に向かって飛んだイカロスは蝋の翼が溶け、海へ落ちて死んだ」この教訓は「人間の傲慢さやテクノロジーの批判ではなく、蝋よりも丈夫な羽を作ろうという科学の進歩への挑戦」。
テーマが良い分、尻すぼみな展開が肩透かし
ギリギリ惜しい。非常にスリリングで音も際立っているのに、肝心の内容が弱く写ってしまった。活かしきれなかったのが勿体ない。
舞台は航空事故調査局。アルプスでの墜落事故に残ったブラックボックスから事件の糸口を探るが、そこには不可解な点が多く残っていて…。よく“実録ミステリー”的なバラエティで観る切り口でありながら、映画音響によって作られる刺激はゾクゾクする。事件の謎を解き明かすために音を疑い、睨みつけながらヒントを探る。その過程はすごく良いが、要素も多くて散漫としている。
そして何より、主人公の先入観が強く疑われてしまうため、キャラの強みが損なわれている。何を信じてこちらも観ていいのか分からなくなる。サスペンス的な要素を含んでいるので多くは語れないが、オチとしては弱くて整合性が取れてないと感じた。
凄くアプローチが良いだけに惜しいと感じた。とはいえ、包まれるような音響のもとで真実のために疑い続ける。それを追体験できるのが醍醐味と言える。そういう緊迫感が好きな人にはオススメ。
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