「隠し事」ブラックボックス 音声分析捜査 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
隠し事
アンビリーバボー!だったり世界まる見えなどの番組でよく放送されている航空事故特集でよく出てくるブラックボックス、ブラックボックスについてさわりだけは知っていましたが、それを題材にした映画は存じ上げなかったので興味津々で鑑賞。
中々面白かったです。オチがどこかの上の人間の隠蔽ということは見え見えでしたが、真実に向かっているはずなのに同僚や上司、近寄ってきたマスコミ、愛する妻にまでも敬遠されえいき、狂っていく様子が底知れぬ人の怖さを体現していました。
ブラックボックスから導かれる数少ない音から事件の手がかりを一つ一つ究明していく流れが淡々としていながらも、観客側と感覚が共有できていて物語にのめり込めますし、主人公が我を貫き通す姿にも納得がいくほどの耳の良さにも関心しました。
主人公の耳が頼りな映画として「ギルティ」が真っ先に浮かびましたが、あっちは主人公がすぐキレたりしているのがノイズになってしまっていてあまり好きではありませんでした。それに対し今作の主人公マチューは大人しいけれど正義感の強いというこういうサスペンスの主人公にはもってこいの人材だなと思いました。過去に分析を見誤り、妄想癖だなんだ言われて蔑まれた経験もマチューにはあり、二の舞はしないようにと慎重に真相に近づいていこうとする姿には胸を打たれます。
事件の真相にたどり着いたとき、コンピュータシステムの脆弱さが仇となり、ハッキングされていたというのがオチなのですが、オチ自体はありがちなのに主人公がその真相を伝えようとするとこれまたハッキングで妨害し、車まで乗っ取られるというとにかく恐ろしい映像体験がそこにはありました。制御も効かない、スピードはどれだけ出ているか分からない、そしてそのまま木にぶつかり絶命。ハッキングの恐ろしさも垣間見えました。最終的には妻に送った事件の真相、隠蔽をその隠蔽した社長のスピーチの最中に流すという展開で物語は幕を閉じます。そこまでの展開が激しかったが故に少し物足りないオチではあったなと思います。
ブラックボックスの重要性、企業の隠蔽など、テレビではよく見て知っていたものについて細かく知れる、そんな作品でした。
鑑賞日 1/22
鑑賞時間 13:10〜15:30
座席 H-9