天才ヴァイオリニストと消えた旋律のレビュー・感想・評価
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ジラールならではの「音楽」と「旅」の物語
フランソワ・ジラール、久々にその名を聞いた気がする。音楽に造詣の深い彼の映画では「楽器」や「旅」というモチーフが繊細に絡まりあい、独特な手法で物語が紡がれ、奏でられていく。このあたりに不慣れな監督が撮ると「音楽」の部分がひどくぞんざいに扱われてしまうことも多いが、ジラールだと楽器の弾き方、演奏家の癖、奏でられるフレーズに至るまで、表現が行き届いていて安心感が漂う。一方、本作では時代背景も非常に独特だ。戦時下における音楽家の混迷や、コミュニティ、ユダヤ教のあり方など、我々があまり目にできない描写が次々と登場する。子供時代の主人公らの純朴な演技もさることながら、それがティム・ロスとクライヴ・オーウェンという大物二人へ引き継がれていくキャスティングも、クライマックスで一段と豊潤な香りを放つ。人生の謎を追う旅。感情的なカタルシスとは一線を画した渋くコンパクトな幕切れも、心の内側に独特の印象を刻む。
重要なコンサートの当日の本番前に、忽然と姿を消した天才ヴァイオリニ...
失踪の理由は分かるのですが・・
良作
観直し
難しいなぁ...
クラシック楽曲と世界を巡る音楽ミステリー。天才ヴァイオリニストが3...
クラシック楽曲と世界を巡る音楽ミステリー。天才ヴァイオリニストが35年前に失踪するストーリーですが内容がちょっと分かり難いので万人向けではない印象。自分には理解し難くこの作品の良さを感じることが出来なかった。
2021-210
予想通り
確かにコンサートなど不可能だった
確かにあの事実と衝撃の後で演奏などできないでしょう。失踪しなくてもドヴィドルのコンサートは中止になったかもしれません(同様の事実を知ったものは気がふれてしまいました)。でも知るタイミングがもっと早かったら。知ったのがリハーサルと本番の中休みなんかじゃなく、彼がその事実に向き合う時間がたくさんあったなら。そう思わずにはいられませんでした。
振り返ればドヴィドルが戦争被害者から宝飾品を奪うのだって、ちゃんと理由があったんだと思うと泣けてきました。お父さんの作ったもの、売ったものが無いか。罪を犯してまで家族の面影をさがしていたんだなと思います。
このお話は主人公のマーティンと失踪したドヴィドルをそれぞれ3人の役者が世代ごとに演じています。そしてドヴィドルはどの年齢の役者もすごい弓さばき(というのかしら)を見せてくれます。特に少年時代の子は子役だけに目を引きます。防空壕の中のセッションも見どころです。
でも私が一番好きなのはピチカートの練習シーンかな。天才というものはあんな練習を毎日何時間もやってやっとできあがるんですね。
口頭伝承
1951年ロンドン。天才ヴァイオリニストと期待されるドヴィドルのデビューコンサートが開催されるも、当人は本番直前に失踪。親友のマーティンと父親は返金対応等ですべてを失ってしまう。
時は経ち、1986年。若き才能の審査員として働くマーティンの元に、ドヴィドルを彷彿とさせる少年が現れたことから、35年越しに親友を探す旅に出る…といった物語。
ミステリー要素を孕みながら、最初の少年を始めとし、ドヴィドルと関りがあった人々を辿っていく。中々好みの展開です。少年ドヴィドルがあまりにも生意気すぎて少々イライラ(笑)
マーティンはどのような気持ちでドヴィドルを探していたのかな。突然失踪した親友を想う気持ちか、或いは実子である自分以上に手をかけられていたにも関わらず、父親の顔に泥を塗ったことへの恨みか。きっといくつもの複雑な感情が絡み合っていたのだろうな…。
後半は哀しく切ない展開。遂に明かされる失踪の真相。
続くラビの歌声。ドヴィドルの祈るような表情が…。
もうここで終わってくれと願っていたかな。そして…。
時間はかかったものの、思いの外スンと出てきたのがちょっと拍子抜けしたことと、1986年…このころは個人情報保護とかそんなでもなかったのかな??あとは、ヘレン。ただ呆れているようで、実は見つかってほしくなかったのかな?
個々人の複雑な状況や信仰、思想が絡んでくるので、それぞれのキャラクターの気持ちを汲み取ることは難しいけど、ラビの歌や35年間の回想とのオーバーラップ、35年越しの借りのシーンは胸に迫るものがあった。
ドヴィドルは生き残った訳だが、失踪後の35年、そしてヨゼフのようなケースもあり、改めて戦争の犠牲者というのは多岐に及び、そしてあらゆるもの奪っていくのだなぁ…。
ドヴィドルのその後はわからないが、家族や亡くなった全てのユダヤ人への鎮魂歌を想い、その旋律を奏で続けていてほしいと願った作品だった。
自分の人生にとって1番大事なものは?
1938年から1985年のお話。
ロンドンに住むマーティンの家に、ポーランド系ユダヤ人の少年ドヴィドルがやって来る。
彼の才能に惚れ込んだマーティンの父親が、彼をホームステイさせたのだ。
ドヴィドル君、自分の才能が分かってる、感じ悪い奴。そんな奴と同部屋で暮らすことになったマーティン、大変だよね。でも、どんどん仲良くなって、本当の兄弟みたいになる。
21歳になりデビューコンサートの日に突然居なくなったドヴィドル。彼は何故居なくなったのか?マーティンは35年掛けてついに辿り着く。
第二次世界大戦、ユダヤ人には大変な時代。ドゥビドルもワルシャワに居る家族の安否が分からなかった。何を優先すべきなのか複雑だ。
この映画、家族、才能、国民性、宗教観、と、いろいろなモノが詰まってるんだけど、全てちゃんと納得できた。納得できなかったのは邦題だけ。直訳したら「名前の歌」だもん。めっちゃ重要な歌でした。
元々、兄弟モノが好きなので、最初から最後までウルウルしっぱなし。音楽も素晴らしく、登場人物達の行動も共感しまくり。
大大満足でした。
邦題のトホホ加減について
映画は素晴らしい。このことはまず言っておかねばならない。良作であるがゆえに、この邦題のいい加減さ、投げやりさが腹立たしくて、ここに糺しておく。この映画に寄せる愛もシンパシーもない、一体にセンスのない邦題をつけたのは誰だ。なんだこれ。シリーズ物のサブタイトルか。「名探偵コナン 天才ヴァイオリニストと消えた旋律」てか。
もはや芸術的価値を貶める犯罪的行為とさえ言えよう。
まず〝天才ヴァイオリニスト〟などという、口にするのも恥ずかしい露骨で下世話で幼稚な言葉を使ってしまっていることからして神経を疑う。〝消えた旋律〟に至っては意味不明。失踪のことを指しているのか? 旋律ってのはメロディーだが、特定のメロディーに焦点が当たることはないから、ただ雰囲気だけでつけたのは明白。この映画の何が売りどころなのか、プロモーター君にはわからなかったのだ。
『The song of names』が原題。見た人には納得のいくタイトルだ。names と複数形になっているところがミソで、ここをうまく表現できないとダメ。「名前の歌」ではね。それでもまだ現タイトルよりはましだが。まあしかし、邦題に膝を打つ作品が少なくなった。今回のはあまりにトホホすぎて映画がかわいそう。仕事が雑過ぎるんじゃ。
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