「美しくも悲痛な旋律」天才ヴァイオリニストと消えた旋律 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
美しくも悲痛な旋律
ユダヤ人の悲劇を十分に知っているつもりでいたが、収容所で息絶えた人の名前を口伝で忘れないようにしていたことを初めて知った。死んだ人の名前を朗誦するラビの歌声とドヴィドルが奏でる鎮魂のヴァイオリンがオーバラップするシーンでは、美しくも悲痛な旋律に心が揺さぶられる。
ドヴィドルが家族や同朋の魂が安らかであって欲しいと祈る気持ちは当然理解できるが、生き残ったユダヤ人として何をすべきかということに関しては想像できていなかった。マーティンの妻と同じで、ドヴィドルを責める気持ちを強く持っていたが、最後の最後になってドヴィドルが失踪した理由に納得ができた。
作品で流れるヴァイオリンの音色は極上で、α波が出過ぎきて眠眠打破を投入してしまった。それもそのはずで、レイ・チェンという一流のヴァイオリニストが演奏を担当しているとのこと。しかも使用している楽器はストラディバリウス。
音楽は生きている人間を癒すだけでなく、死者の魂までも鎮める力がある。改めてそう思った。
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NOBUさんのコメント
2021年12月4日
度々。
今作、個人的にとても響きました。
特に、ラビが天才ヴァイオリニストの家族の運命を朗々と歌い上げたシーンは沁みました。
口頭伝承・・。
哀しき物語でしたが、私は良作だと思いました。では、又。
多くの人に観て欲しいなあ・・。