「復讐よりも…」沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
復讐よりも…
パントマイマーの青年マルセルが、親をナチスに殺害された子供たちと、パントマイムを通じ心を通わせ、安全なスイスに逃がそうと奮闘する物語。
初めは乗り気でなかったマルセルだが、子供たちを笑わせたい想いから、孤児の世話を引き受けることに。しかし、ナチスの進行が激化し、遂にはレジスタンスに合流し子供たちをスイスへ逃がそうと動き出すが・・・。
実在したパントマイマー、マルセル・マルソーの戦中の活動を描いた作品。
実にこの夏4本目のナチス関連作品だが、本作もナチスの蛮行は目を覆いたくなるものばかり。
マルセルの子供たちとの心を通わせる描写や、父親と夢の話には心が暖まる。
クラウス・バルビーの行為には戦慄が走る。こんな男でも、自身の子供の前では普通の親の顔になるのがむず痒い。電車内でのマルセルとのやり取りは名シーン。
そして忘れられないのが、橋の下でマルセルがエマに話した言葉。確かにそれこそが本当に大切なことですよね。胸にグサりと突き刺さる‼…でも、エマの思いも…ワタクシだったら冷静ではいられないだろう。
全体を通し、悲しさや暖かさに包まれた作品だが、それだけでなく、レジスタンスとしての闘いにはスリルも覚える。タイトルにもある「沈黙」とは言い得て妙ですね。
それぞれの親子の描写や子ども達への想い、仲間との絆に涙が溢れそうになった作品だった。
最後のパフォーマンスが示していたものとは!?
演技のような本気のような涙顔に胸がえぐられる怪演ですね。
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