劇場公開日 2021年8月27日

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「パントマイムの神様は早口で喋る」沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0パントマイムの神様は早口で喋る

2021年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

マルセル・マルソーといえば、個人的にはKBS京都での来日公演の告知CMが思い出深い…といっても実際に観劇した事はないが。
そのマルセルの伝記映画と聞いた当初は、迫害されるユダヤ人の心をパントマイムでほぐしていくハートフルな内容かと思っていたら、ちょっと違っていた。いや、マイムでユダヤ人の子供達を癒していくシーンはあるものの、全体を占めるのは彼らを脱出させるための緊迫の逃走劇。
捕らえられた実兄を救出するための派手な見せ場があったり、身元がバレないよう策を講じるといった、戦争アクション映画でよくあるシーンも盛り込まれていて意外。『沈黙の~』というセガール映画っぽい邦題が付いたのもそのあたりが関係しているのか(そんなわけない)。
マルセル役のジェシー・アイゼンバーグは、ここでも『ソーシャル・ネットワーク』を思わせる早口で喋りまくるも、それはナチ高官クラウス・バルビーを煙に巻くための手段として使われる。ただ、肝心かなめのマイムパフォーマンスがイマイチ。シーンによってはダブルも起用していたようなので、もしかしたら役作りに時間をかけられなかったなどの諸事情があったのかもしれないが、マルセルといえばパントマイムは絶対外せない要素ゆえに、ここはもうちょっと頑張ってほしかったところ。
本作や『復讐者たち』を含め、7~8月はナチス・ホロコーストを扱った映画が立て続けに日本公開されるので、見比べてみるのもまた一興。ちなみに、マルセル達ユダヤ人がナチスに復讐する最大の策が、『復讐者たち』とイコールになっているのが面白い。
ただそれらを一気に観ると、気分がダウナーになる事必至だが。

regency