劇場公開日 2021年12月3日

  • 予告編を見る

「真正面から描いたリアル、山田杏奈さんの逞しさと透明感」彼女が好きなものは あおねるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0真正面から描いたリアル、山田杏奈さんの逞しさと透明感

2022年5月28日
スマートフォンから投稿

泣ける

難しい

私の周りには腐女子がたくさんいるので勧められ読んだ事があります。腐女子でない人間のBL漫画に対する素朴な疑問を主人公の純(神尾楓珠)が突っ込んでいたりと、共感して頷きながら鑑賞していました。
以前腐女子の友人が「腐女子がBL漫画を読むということがエッチなシーンが見たいからだろうと勝手に決めつけられたことがある」と苦笑いしている時がありました。
しかし友人はこうも言っていました。
「BLは奥が深い。男性同士の行為を見たいという理由で読む人も確かにいる。だけど私は漫画の中であっても偏見や差別の壁で一緒にいることが許されない登場人物の深い悲しみ、ただ好きな人と一緒にいたいだけなのに周囲から反対される当事者の理解されない苦しみを感じたりして、その逆境を乗り越える過程に涙する。誰にも馬鹿にされる筋合いはない」と。

今ではボーイズラブ作品はドラマ化や映画化作品が増え、ボーイズラブ作品からブレイクする俳優さんも多くなったように感じます。
セクシャルマイノリティというもの自体は昔と比べれば今は理解されるようになったと思います。
しかしセクシャルマイノリティ、腐女子、どちらの立場でも未だに嘘をつき隠しながら生きなければいけない肩身の狭い世の中であることは間違いありません。

この作品では今でも根強い差別が残る同性同士の恋愛事情、そして誰にも話すことのできない腐女子のリアルについて繊細に描いていたと思います。
山田杏奈さんはたくさんの作品で拝見していますが、どの作品も瑞々しく逞しい。感情が揺さぶられる素晴らしいお芝居です。

コメントする
あおねる