劇場公開日 2021年7月16日

  • 予告編を見る

「復讐だけでなく回復の物語」プロミシング・ヤング・ウーマン kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5復讐だけでなく回復の物語

2021年7月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

人の痛みってものはその当人でなければ本当の共感はできない気がする。ましてや立場が違う人であればなおさら。だから女性がつらい目にあう話は、男の自分には真の共感はできないと思っている。共感できると思い込むことの危うさの方が怖い。でも、できる限り共感の努力はしたい。
本作の主人公キャスは1人バーでへべれけになって、誘ってくる男性を説教?する日々を過ごしている。なんでそんなことしているのか?が序盤の引きとなっている。アメリカらしい状況とも言えるが、日本でも後に事件として発覚しているケースもたくさんあるから全くないわけではなさそうだ。無理矢理ことに及ぼうとしなかったヤツには少し優しめのお叱りだったのがちょっと面白い。
やはり観ていて感じたのは、加害者と被害者の事件の受け取り方の違いや、記憶の違いだ。痛めつけた方は、悪気はなかった、ただのお遊びだ、若かったからと言い張り事件そのものの記憶もあいまいになっていくが、傷ついた方はそんな簡単な言葉ですませられることではないし簡単に忘れられるものではなかったということ。これ、すべての加害と被害でありがちで決定的な違いだ。
正直、キャスは傷つきながらも復讐を果たしてスッキリさせてもらえるのかと期待していた。期待通りのスッキリはなかったが、なるほど!と心の中で唸ってしまった。そしていろいろと考えさせられた。最後、ライアンにあてたテキストが切ない。
ちなみに英語圏の顔文字は横になっている顔が多く意味がわからないので、観終わって最初に調べたのが「;)」の意味。汗を流している顔ではなくウインクしている笑顔の意味だった。その前の言葉と合わせると余計に切ないじゃないか!

kenshuchu