劇場公開日 2021年7月9日

  • 予告編を見る

「快進撃を続ける中国映画。イマイチ見る気がしない人でも、日本を舞台に日本人キャストを使った本作は是非とも見てみてほしい!」唐人街探偵 東京MISSION 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5快進撃を続ける中国映画。イマイチ見る気がしない人でも、日本を舞台に日本人キャストを使った本作は是非とも見てみてほしい!

2021年7月9日
PCから投稿

中国で大ヒットを記録している人気シリーズ・チャイナタウンの探偵の活躍を描く「唐人街探偵」シリーズ。2015年年末に公開されたタイを舞台にした第1弾は興行収入約140億円、2018年に公開されたアメリカを舞台にした第2弾は興行収入約576億円と、かなりのメガヒット作品となっているのです。
そして、2021年に公開された第3弾は、第2弾から主要キャストであった日本の探偵・妻夫木聡に加え、舞台が東京のため、長澤まさみ、浅野忠信、三浦友和、鈴木保奈美、染谷将太など日本人キャストが多数出演しています!
作風はギャグシーンも多くありますが、ベースは密室殺人事件の真相を丁寧に描いています。私は1回目を見た時は、少し入り組んでいて判断できなかったのですが、改めて確認すると、実は、かなり緻密に描き出している本格的な探偵映画であると分かり、メガヒットするのも納得できました。
本作で特に注目したいのは、密室殺人事件のトリックの謎を解き明かす過程での洗練された映像表現や、外国人監督ならではの剣道や相撲対決などの描き方です。
これらは素直に、なるほど、こういう描き方もあるのか、と感心させられました。
メガヒット作品なので制作費も約65億円とハリウッド映画並みです。しかも、そのうち約30億円は日本で使われているので、日本にとっても様々な面でメリットがあるのです。
例えば、世界一通行人が多いとされる渋谷スクランブル交差点ですが、撮影許可が下りずに、総工費3億円とも言われる「本物さながらのセット」を足利市で主導して作ってしまったりと、かなりのパワーを感じます。(このセットは未だに残っていて、他の映画などでも「足利スクランブルシティスタジオ」から借りられるようになっています)
またマイケル・ジャクソンやテレサ・テンの歌などをそのまま使ったりと、制作費のうちこれらも大きかったと思われます。
ちなみに、タイの探偵はトニー・ジャーで、秋葉原でのコスプレなど楽しませてくれます。
最初の日本の空港シーンは、いかにも外国の映画らしい東京の描き方ですが、他のシーンは、「日本へのリスペクト」を感じられ親しみが持てます。
エンドロールの際に流れる「こんにちは東京」の歌詞など、とても日本愛に溢れ、もし新型コロナウイルスの影響がなければ、かなり多くの観光客が増え、日本経済が大きく潤ったはずで、その点だけはとても残念です。

コメントする
細野真宏