「踊りも歌もないインド映画」ピザ! Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
踊りも歌もないインド映画
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父親は(罪状は不明だが)拘留中、姉と見間違えられる若い母親のわずかな稼ぎでは老いた祖母と息子達の生活費もままならない、まだ幼い兄弟は学校にも行けず線路脇で石炭を拾う「仕事」で家計を支えながら、空腹でカラスの卵を食べる日々。
これだけお先真っ暗な状況なのにめげない子供達の笑顔に救われる。
スラムの一家には一月分以上の稼ぎであるピザをなんとかして食べようあれこれ様々な手段を使って稼ごうとする前向きな姿勢に救われる。
スラムの映像を見てるとよくこんな場所で暮らせるな、と思う酷さだが、よりグロテスクなのが子供達の足で行ける範囲に富裕層も住んでいるというところ。富裕層の子供達が食べ残しのピザを「恵んで」くれようとするが、長男にもそれを断るだけの矜持はあるのが切ない。
そしてせっかくお金を貯めて服まで新調して店に行ってもピザにありつけない理不尽さ。親ガチャではないが環境ガチャを意識し出す年頃だろうな…。
悲しいのは、兄弟がピザ一枚自由に食べられない貧困に直面するなかで、おばあちゃん(父親の母)は「自分は食べて寝るしか能が無い」と自嘲的に呟いているのをそのまま鵜呑みにして、息子たちが祖母を「食べて寝るしかできないくせに」と馬鹿にするようになること。でもそんな祖母が孫のためにピザをまねて作ってくれたドーサの方がピザより美味しかった、と言うラストが良い。
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