劇場公開日 2021年11月12日

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「40分という上映時間を活かしきった一作。」サマーゴースト yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.040分という上映時間を活かしきった一作。

2022年1月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

約40分という短い上映時間のため、話しは絞り込んでいる感があるけど、映像は豊穣そのもの。「時間を長く感じた」という感覚が良い意味で作用している珍しい作品でした!

loundraw監督の名前は初めて耳にしたけど、それもそのはず、劇場アニメ作品の監督は初めてとのこと。しかしこれまでもアニメ作品の原案や美術に携わっており、なんといっても書籍装画で非常に多くの業績がある方とのこと(『君の膵臓を食べたい』をはじめとした住野よる作品など)。となると今までも監督のイラスト作品はたくさん観てきたはずで、本作の、「どこかで見たことのあるような」、ある種の懐かしさを憶える感覚はここから来ているのかも。

映像としては決して派手だったり、高度な作画技術を誇示する、といった印象は薄いんだけど、特に光の表現の繊細かつ緻密さが印象的です。

幽霊となった女性を巡る物語が縦線なら、主人公達がどのように幽霊が見える「条件」を備えているのか、という謎が言わば横線となっており、全てが明らかになった後で冒頭の場面を思い起こすと、腑に落ちるようなちょっと悲しくなるような、不思議な思い出として蘇ります。

脚本を担当している乙一(安達寛高)のデビュー作は『夏と花火と私の死体』(1996)で、どう考えても本作と繋がっているようにしか思えないんだけど、監督の弁によると、自身のイラストが本作の着想に繋がっているとのことで、二つの作品には直接の結び付きはなさそう。だからこそこのシンクロには驚いてしまうわけだけど。

yui