「題材と人形になりきる人間のビジュアルは◎、だが…」夢幻紳士 人形地獄 015🎬さんの映画レビュー(感想・評価)
題材と人形になりきる人間のビジュアルは◎、だが…
観終わってからこの監督のオリジナル作品を観ましたが(『怪盗アンコはおわる、はじまる』)、正直、オリジナル作品の方が脚本の運びも撮り方も全然面白かったです。こっちの映画でも皆木正純氏が探偵役なんですけれどね。帽子被ってる探偵。喋り方と雰囲気もなんか似てます。でも全然自然。
原作未読です。割とこういった系統の映画は結構観ますし、他の方が挙げられていた市川崑監督の映画も観ています。『犬神家の一族』とか。
率直に感じたままのことを申し上げますと、資金不足を感じさせる撮影環境と、劇団チックなキャストさん達の動きが微妙。
エンドロールからして、恐らくはクラファンで製作費を募られたのでしょうが、豪邸設定なのに邸内の環境が寒々しかったり(小道具が足りない)、昔の物と現代の物が変な感じで入り乱れていて、観ていて非常に落ち着かない。
周りがレトロなものに囲まれているのに、人形が入っている箱がやたらとチープな感じするとか、邦画を見るなら美術担当さんの全力投球が見たいと思い込んでいる自分にとっては、かなりに、非常に厳しいもんがありました。
製作費が足りずに中途半端な環境になるのであれば、もっと定点で話を運ばせて、小道具にお金をかけた方が良かったのでは…と思ってしまった。
結構無駄に背景が動くので(さっきまで大部屋で寝ていたと思ったのに、次の描写では個室設定になっている等)、正直その辺も資力不足をごまかすためかなと勘繰ってしまいました。
あと、キャストさんの件。
探偵役の皆木正純氏への違和感はなかったです。
他の方は…ホントごめんなさい。ちょっと昔の劇みたいな大袈裟なモーション過ぎて、観てて疲れちゃいました。
ただ動いている場面はひたすら違和感ですが、静止画であれば受け付けるところは多いです。
特に雛子の能力によって人形にされた女子。倒れた後の表情が本当に人形みたいです。
そこは良かった。
結論として―
題材と静止画の素材としては良かったですけれど、映画としては何で楽しめば良いのか分からなくなる感じです。
ただ原作には興味を持ちました。