劇場公開日 2022年9月23日

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「短いながら、3世代にわたる女性たちの織りなすちょっと不思議な物語が、さわやかな鑑賞感をもたらす一作」秘密の森の、その向こう yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 短いながら、3世代にわたる女性たちの織りなすちょっと不思議な物語が、さわやかな鑑賞感をもたらす一作

2025年6月16日
PCから投稿

『燃ゆる女の肖像』(2019)で一気に知名度を高めたセリーヌ・シアマ監督が手掛けた、中編映画です。

ネリー(ジョセフィーヌ・サンス)と、彼女が出会う幼い頃の母親、マリオン(ガブリエル・サンス)が実によく似ていて、鑑賞中もしばしば「あれ、この子どっちだっけ?」ってなってしまうんだけど、実際の姉妹だということで納得。

森の中で二人が佇んでいる姿は、実写というよりも絵本の挿絵のような、どことなく現実離れした印象を受けるんだけど、物語自体も時空を行き来するという、ちょっと不思議なファンタジーの要素を含んでいます。

あくまで幼いネリーの視点で綴っていく物語なので、不思議な設定が全然不思議っぽくないのが面白い点です。何しろ家の裏手の小道を歩いていったらいつの間にか時空を飛んじゃってるわけだから。

日常の中に超常的な要素を織り込んでいくところが、どことなくマジックリアリズム的でもあり、そこは『燃ゆる女の肖像』の、スカートが燃えている女性の、不思議な佇まいが醸し出す雰囲気と通じるところがありました。

「現在」の時間軸でネリーが受けた悲しみや衝撃を、「過去」の母親や祖母との出会いで折り合いを付けていくという展開は、どことなく藤子不二雄の短編のようでもあって、妙に爽やかな鑑賞感となりました!

yui
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