「死への代償は何か?」白い牛のバラッド フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
死への代償は何か?
神が下した判決を人間が代わりに執行する話
本当に神って素晴らしい、なんでも神のせいにしても文句ひとつ言わないのだから。
冤罪は人が人を裁く上で必ず起きてしまう事だけれど、それを神の名のもとにしょうがないよねって言えてしまう社会は怖いですね。他人事ではないので。
冤罪は取り返しがつかない、残された家族も裁きを下した判事も深く傷つき立ち直れない。
死刑が一番多い国の闇に触れた画期的で心に刺さる映画でした。
贖罪をいくらしても命は戻らないし、許しも無い。
人間は罪を背負って生きるしか無いのだと改めて考えさせられました。
劇中、偽りの二人の関係がよくなるのが辛い、もしかしたら幸せになれるかもって希望があるのがなんとも言えないですね。いやこの二人が幸せになることはほぼ不可能なんですけれど・・・
唯一、幸せ?楽?になれる方法は「許すこと」なのですがそれが出来ない。
心はそう簡単に割り切れない。
死刑への疑問、冤罪への批判、許しへの選択、ただただ重いテーマでしたが作品の完成度が高くて素晴らしかったです。
司法と宗教、人間が生きるために作り出した概念はどうやっても摩擦が生まれてしまうのですね。
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劇中セリフより
「君に報いが無いことを」
知らなかったからでは済まない事、しょうがないでは済まない事、物事には必ず報いが待っている。
反省の償いも、怒りの前では無力なのかも知れません。
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