「【コロナ禍で色々とストレスが溜まっていたルーマニアの民の姿を描いたブラックコメディ。彼の国の社会の偽善(チャウシェスク夫妻の処刑・・。)や偏見を皮肉たっぷりに描き出した作品でもある。】」アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【コロナ禍で色々とストレスが溜まっていたルーマニアの民の姿を描いたブラックコメディ。彼の国の社会の偽善(チャウシェスク夫妻の処刑・・。)や偏見を皮肉たっぷりに描き出した作品でもある。】
ー 名門校の教師・エミは、夫とのプライベートセックスビデオがネットに流失。
保護者会を控え、エミは事情説明のため校長宅に向かっていた。
彼女の抱える不安やいら立ちは、街行く人々の怒りや絶望と重なり、猥雑で汚れや怒りをはらんだ空気が徐々に膨れ上がっていく。
という内容を三章立てで描いた作品。
特に秀逸なのは、ルーマニアの過去の負の歴史を様々な角度から炙り出した第二章および、第三章の三つのエンディングの描き方である。-
◆感想
・今作を映画タイトルに釣られて観ると見事に肩透かしを食う作品である。
冒頭の、名門校の教師・エミは、夫とのプライベートセックスシーンは、監督の”自己検閲”とナレーションが流れる音声のみで全く描かれないが、明かに意図的である。
・面白いのは、コロナ禍により慣れないマスクをしているルーマニアの人々の苛立ちやマスクをキチンと装着していない(顎にひっかけているだけ)姿である。
・今作は、通常は立派な名門高校の女性教師の夫とのセックスシーンを撮影したフィルムが流出した事を表立った形で描きつつ、ルーマニアの闇歴史(独裁者だった、チャウシェスク及びその夫人が莫大な財産を蓄えていた事が明らかになった際に、即在に夫妻が射殺された件など・・)を仄めかしながら、彼の国の社会の偽善や偏見を皮肉たっぷりに描き出した作品である。
<手元のフライヤーを観ると、今作は2021年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したそうである。
今作は、章立てでストーリー展開がされるが、第二章および、第三章の三つのエンディングを含め、構成が面白かった作品である。>
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