「人を裁く者は、いつか自分も裁かれる... 法の眼を掻い潜る外道を始末する制裁者の苦悩と矛盾を衝く重厚な時代劇映画!!」仕掛人・藤枝梅安 O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)
人を裁く者は、いつか自分も裁かれる... 法の眼を掻い潜る外道を始末する制裁者の苦悩と矛盾を衝く重厚な時代劇映画!!
『鬼平犯科帳』や『剣客商売』で知られる池波正太郎先生の時代劇小説シリーズで、過去にも萬屋錦之介さんや緒形拳さん、渡辺謙さんといった錚々たる名優の主演でTVドラマ化・映画化されておりますが、"池波正太郎生誕100周年記念"ということで今年二作連続公開の今回は一作目です。
新生の梅安を演じるトヨエツさんをはじめ、脇を固めるキャラクターに至るまで主演を張れるような豪華俳優陣なのはさすが劇場版スケールといったところで、殺陣や殺しのバリエーションは必殺シリーズほどではないにせよ、代わりに"請負での悪人始末"という一義的な正義の危うさやそれによって二次的な被害者・加害者を生んでしまうという矛盾と皮肉をじっくりと描いており、人生の残酷さと因果応報を時代劇らしい解り易さで展開してくれます。
時代劇というと"偉大なるマンネリ"そして"勧善懲悪"が至上命題ではありますが、その大前提を踏まえつつも過去の映像化の積み重ねを大事にしつつも、劇場版という尺とスケールを最大限に生かした全時代的な人間存在の業を見事に描いた秀作だと思います。
時代劇だから単純明快でお約束ばかりのものと早計せず、老若男女どの層にもそれぞれにそれぞれの形のメッセージが受け取れる作品なので是非劇場でご覧いただきたいところです。
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