鬼平犯科帳 血闘のレビュー・感想・評価
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映画化が続くことを願う。最低でも10年
時代劇の良さを満喫出来た。殺陣等映像の迫力がもの凄い。 親子で同一人物を演じ、それぞれの魅力が非常に出ている。 平蔵という人物は鬼にもなれるけど非常に優しいから あの雰囲気であの容姿の松本幸四郎さんは適役だ。 自分の鬼平を作っていって欲しい。 パンフによると6年前に企画スタート。 音楽も主役に合わせ作られている。 どの共演の役者さんも持ち味、実力を発揮されていて、 特に柄本明さんは長く画面に映っていてとても味わい深かった。
まさか時代劇を観て泣くとは。。
松本幸四郎さんファンの友人の猛プッシュを受け、渋々観に行きましたが、、観て良かったです。 確かに、所々、わからない言葉は出てきますが、ストーリーを追うのに問題になることはありません。 人間ドラマとして、感動して涙が流れました。 また、伏線とその回収もあるので、隅々まで見逃せません。 「時代劇なんて。。」という人にもオススメできる作品です!
時代劇が好きだ!
吉右衛門さんの鬼平をずっとテレビで視て来ました。舞台にも幾度か足を運びましたが、その舞台でもお馴染みジプシーキングスのインスピレーションが流れます。今回は別と分かってはいたものの、ついラストに流れるのではと期待してしまいました。 それは別として、今回は染五郎さんが良かった。まだまだお若いし線も細いからなどと勝手に思い込んでいた自分を恥じました。口跡も良く、映画を鑑賞した後に前後してしまいましたがドラマの桜屋敷の方を視聴したのですが、映画の方のお芝居がとても良くなっているように思いました。こうして役が身に付いて行くのでしょうね。 幸四郎さんも良かったです。 家来手下を引き連れ参上し、「神妙に縛に就け」という場面は無かったものの、鉄っさん、お政の双方の想いに涙しました。吉右衛門さんの鬼平が持つ包容力やチャーミングさは、また違った形で幸四郎さんの鬼平が魅せてくれるであろうと後味良く帰途に着きました。 付け足しのようでなんですが、やっぱり火野正平さんはモテるよな~、柄本明さんは上手いな~としみじみ感じながらも、お二人が走る場面には「大丈夫か?」と心配が先に立ってしまいました。
代替わりした鬼平って
いう感じかな。 仙道さんがだいぶ年をとったな。 北村有起哉はいい、ゲスやろうっプリがいいな。 志田未来と松本穂香があっという間に、、、、。もったいない。 これから続編をやりますって、終わり方。 この映画の前日譚(本所・桜屋敷)が時代劇専門チャンネルでやっているようですが、今ならTVerでそっくり観られます。 橋爪功がこの後でてくるようです。
鬼平0
鬼平の誕生、というか若い頃やんちゃしてた鉄がいかにして火付盗賊改・長谷川平蔵、鬼平になったか。 というのを予告編から勝手に想像していた。 染五郎そんなに強そうじゃないし、松本穂香出番少ないし、ちょっと残念。 (ポスターに松本穂香の名前を見つけて、出ているの知らなかったから、びっくりした! 知ってたら初日に駆けつけたのに。と期待して観に行ったらびっくりした!! あんだけー!!!これから松本穂香の主演作を観ることがあるんだろうか。) 最初のタイトルすごくカッコ良くてワクワクしたけど、音楽が途中まで絵に描いたようなテレビドラマの効果音みたいな劇伴でなんかかえって台無し。 エンディングの音楽はよかったです。 柄本明はさすが。 中村ゆりさんは「あまろっく」に続いて良い役で、きれいだったけどなんか合ってないような、、、。 北村有起哉の悪役っぷりは、ハリウッドのアクション映画に今まで悪役してなかったような俳優さんが出てきて強烈な印象を残していく(リーサルウェポンのゲーリー・ビュジーやダイハードのジェレミー・アイアンみたいな、例えが古くてごめんなさい)時のようでなかなか似合ってたけど、このまま悪役専門になっていったらやだな。と思うほど憎々しかった。 良くも悪くもテレビドラマの特別編て感じなのは、テレビドラマのスタッフが作っているから仕方ないか。 続く、みたいな終わり方(付け足し)はやめてほしかった。 池波正太郎の作品は「剣客商売」が一番好き。 あと何年かしてもう少し枯れてきたら、真田広之が秋山小兵衛を演じてくれないかなぁ。
池波正太郎原作の鬼平犯科帳決闘を鑑賞! 本所のワルガキ時代と火盗改となった長谷川平蔵が交錯交錯するストーリー!
印象に残ったのはワルガキ時代、誰に対しても平等に付き合う姿勢と、火盗改になっても変わらず部下から慕われる長谷川平蔵の人間性! 映画の最後に長谷川平蔵の隠密(犬)となった、おまさに意味深な言葉を投げつける。続編がありそう! 勧善懲悪の時代劇はやはり楽しい🎵
作り込まれた時代劇の良さを堪能できる。中村ゆり、柄本明、北村有起哉他俳優陣が好演。配信への追い込み前提の映画製作は本当に不愉快。
作り込まれた時代劇の良さを堪能できるが、せっかくの時代劇を劇場で堪能できる機会なのに、配信シリーズ4エピソードのうちの1本を劇場で公開、あと3本は時代劇専門チャンネルに契約しないと観れないという仕組みが嫌らしい。 だったら、4本全部映画館にかけてほしい。 とても残念。 (パンフレットも4本掲載、映画以外の3本は宣伝?で2420円。) (本作で一瞬しか出ない役者も他の3本のうちのどこかで活躍するのだろう。) それはさておき、鬼平もさておき、共演陣の演技がいろいろ味わえるのが本当に良かった。 この雰囲気は時代劇ならではだと思う。 とにかく、中村ゆり演じるおまさの一途さが心に迫る。 そして、志田未来、仙道敦子の女優陣も好演。 最近は顔見世が多い柄本明の演技をちゃんと味わえるのも良かった。 (人相書がそっくりで爆笑!) また、唯一の息抜きになる浅利陽介のコメディ・リリーフが面白い。 北村有起哉の悪役っぷり、特に死にざまが凄い。 なお、本作は、通常のエピソードでなく、鬼平自身の因縁話であり、サイドストーリー的なエピソード。 鬼平自身が単身乗り込んで単独で大活躍、その後手下たちが遅れて到着というシーンが続くのに違和感を感じる。 出来れば、事件を調べていく通常エピソードが観たかった。 せっかくの映画なのに、ディズニープラスみたいな、配信への追い込み前提の映画製作は本当に不愉快。
手向かう奴は斬れ!
鬼平こと火付盗賊改長谷川平蔵の活躍をみせる鬼平犯科帳の時代劇専門チャンネル版の劇場版。 鬼平の犬=密偵に志願してきた「本所の銕」時代の知り合いの娘が、鬼平に恨みを抱く凶賊に潜り込む話。 松本幸四郎がちょっとセリフの言い回しや表情がつくり過ぎかな…と思っていたけれど、本所の銕を演じた市川染五郎が見事に寄せていて素晴らしい! そして個人的には、どちらかというとあまり特色のないドラマというイメージのある鬼平犯科帳が見事な活劇になっているし、それでいてドラマ部分も駆け足な感じはあるものの悲喜こもごもちゃんと波があって相当面白かった。 しかしながら、都心から少し離れてはいたものの、公開初週日曜夜、200席強の劇場が貸し切りで色々と心配になった。
時代劇
初めて劇場で時代劇を鑑賞 時代劇チャンネルの映画なのでやはりTVを観ているような感覚で深みを感じませんでした。 しかし話は面白いです、時代劇らしく勧善懲悪 鬼平をしたう女と恨む男のからむ話でしたが、女は少女の頃から鬼平をしたっており家業から密偵をかってでます。 鬼平が若い頃は無頼で正義を貫いていた。それに惚れた女たちですが皆不幸に。 ただ最後は時代劇らしく悪は倒れ、女は救われますが。 歌舞伎役者のプライベートが重なって見えてしまうので感情移入はできかねますけど、楽しく観れました。
板に付いてきた幸四郎鬼平
幸四郎鬼平の1作目、本所・桜屋敷では貫禄、風格ともに吉右衛門さんにはまだ及ばないと感じたが、本作では幸四郎さんなかなかどうして板に付いてきたではないか! 志田未来演じるおりんや中村ゆり演じるおまさとのやりとりは平蔵の懐の深さ、優しさを見事に醸し出していた。殺陣も立派であった。 しかし、こればかりはどうしようもないことだが、幸四郎さんが男前に過ぎるためか吉右衛門さんの味と男の色気、凄みにはいま一歩及ばないと感じたのも事実である。 尚、鷺原の九平を演じた柄本明もさすがの名演であった。柄本は吉右衛門鬼平で小野十蔵を演じたが、本シリーズでは息子の時生が十蔵を演じる。時を経た親子の競演も見ものである。 久々に本物の時代劇映画を観させてもらった。
冒頭の中村ゆりの和服姿がとても美しい。 姿勢、所作が素晴らしい。 ...
冒頭の中村ゆりの和服姿がとても美しい。 姿勢、所作が素晴らしい。 長谷川平蔵役は親子共演だったんですね。 ストーリーはシンプルだが、一人ひとりの演技に重みがあり、よい時代劇でした。 仕掛人藤枝梅安とともにシリーズ化して欲しい。
彦十に馬の平蔵のお供をさせるなら歩きじゃなく自転車に乗せたい
2024年映画館鑑賞34作品目 5月12日(日)イオンシネマ石巻 6ミタポイント0円 監督はNHKドラマ『鼠、江戸を疾る』第1シリーズ第6第7回で演出を務めた山下智彦 脚本は『お墓がない!』『昭和歌謡大全集』『悪夢ちゃん The 夢ovie』『悼む人』『仕掛人・藤枝梅安』二部作の大森寿美男 やっぱり時代劇といえばチャンバラ スカッとする 先代の松本幸四郎の息子であり松たか子のお兄さんというイメージしかなかったが加齢のためかいい役者になった感が強い 予告編でも使われた悪党を切り捨てる時のあの表情は素晴らしい 息子もいつのまにかずいぶん大きくなったな 北村有起哉矢柴俊博という流れに広瀬すず主演『水は海に向かって流れる』を思い出し思わず吹き出した ヤクザにタンカを切る松本穂香の熱演はちょっと意外だった 自分は彼女を過小評価していた 柄本明の江戸時代風似顔絵がいい味を出していた 配役 火付盗賊改方長官の長谷川平蔵に松本幸四郎 若き日の平蔵の長谷川銕三郎に市川染五郎 平蔵の妻の久栄に仙道敦子 盗賊の娘で引き込み女から足を洗い平蔵の密偵として働きたいおまさに中村ゆり おまさの少女時代に中島瑠菜 平蔵の筆頭与力の佐嶋忠介に本宮泰風 平蔵の同心で「うさぎ」の異名をとる遊び人の木村忠吾に浅利陽介 幕府の若年寄の京極備前守高久に中井貴一 平蔵の密偵の相模の彦十に火野正平 1人働きの老盗賊だが日中は芋酒屋「加賀や」を営む鷺原の九平に柄本明 盗賊の頭の網切の甚五郎に北村有起哉 甚五郎の若い頃に銭山伊織 甚五郎の引き込み女のおりんに志田未来 平蔵が若い頃に惚れたおろくに松本穂香 おまさの父の鶴の忠助に甲本雅裕 元盗賊で居酒屋の亭主の大黒の与右衛門にベンガル 香具師の元締の土壇場の勘兵衛に矢柴俊博 軍鶏鍋屋「五鉄」の亭主の三次郎に松元ヒロ 三次郎の妻のおたねに中島多羅 同心の酒井祐助に山田純大 同心の沢田小平次に久保田悠来 同心の小野一三に柄本時生 剣客の浪人の桑原又二郎に山口祥行 盗賊の幹部の野尻の虎三に田中俊介
新しい鬼平 その血が成せる業
「てめぇっ! この女の情夫(イロ)かっ?」 「だったら、どうする・・・?」 囚われたおまさを助け出す場面 悪党どもにそう訊かれた鬼平の 静かな怒りに燃えた ドスの効いた返し 中村吉右衛門さん演じる 鬼平犯科帳の中でも好きなシーン 好きなセリフだった 新しい鬼平 十代目松本幸四郎がこの場面をどう演じるのか楽しみでもあった 映画「鬼平犯科帳 血闘」 「貴様 この女の情夫かっ?」 「・・・あぁ、そうだよ」 まだ若さが残る鬼平、本所の銕と異名をとった名残を残したような 十代目のセリフも良かった CSで放送された「本所桜屋敷」でも感じられたが お祖父様 そして叔父様が演じられた長谷川平蔵を その仕草、所作も言い回しも なるほどこれが血かと思わせるに十分な鬼平の姿だった そして柄本明さん 火野正平さんはじめ北村有起哉さん 中村ゆりさん方々の脇を固める役者さんたちの見事さもあって映画に見入った至福の時間だった これからCSで放送されるシリーズも楽しみです
脚本がいい!柄本明さん圧巻!新たな鬼平を是非スクリーンで!
冒頭の若き銕のシーンが生きてくる巧みな構成が見事。現在と過去を行き来する脚本が素晴らしい。20年の時を経て再会する鬼平とおまさ。おまさが鬼平の役にたちたいと無理をする強い思慕が愛おしくて泣けた。おまさにとって銕三郎との絆は、底辺を這いずり回って生きてきた自分の人生で唯一の愛おしい記憶で、唯一慕った人が今こうして輝かしい役を得て奮闘しているのなら自分はその狗として尽くすのが本望という気持ちなのだと思う。それが美しくて切なくて。 今回おまさの描き方に配慮したという。梅安と比較すると、梅安の動機として女性をいたぶる悪党を成敗という趣があったこともあり痛ましいシーンが散見されたが今回はほぼなく、事後どまりだったのは個人的にはホッとした。気がかりだったので。 この血闘は、ユーモラスなシーンもあり、鬼平の愛嬌などを含めたキャラクターとしての懐の深さ、そしてシリーズ通じての単純な善悪でははかりきれない世界観、そして殺陣などの迫力や江戸の街の美しさなどもしっかり伝わってきた。 今回の血闘は二人の盗賊がクローズアップされ、そのどちらもが素晴らしいの一言。老盗賊の鷺原の九平を演じる柄本明さんはもう、最高としか。飛んで駆けて魅せてくれる。そしてあの表情…。そして北村有起哉さんの網切の甚五郎の執拗さ、狂気も凄まじく、この二人の盗賊が血闘という作品を盛り上げたことは間違いない。 おまさの切なさと強さ、木村忠吾を演じる浅利陽介さんの軽妙な味わい、火野正平さん、本宮泰風さん、仙道敦子さんもとても世界観にあっててよかった。 そして、新たな鬼平の松本幸四郎さん、声が本当に叔父の吉右衛門さんに似ていて、ぐっとくる。若き銕を演じる染五郎さんの無頼な雰囲気もとてもよくて、またこのシリーズで銕三郎を見たい。 エンタメ作品としての完成度の高さに瞠目。ハマったキャスト、美しい絵、そして鬼平らしい飯テロさ。鬼平の世界を堪能できて大満足。リピートしたい。
良きスタートを切った。と思う
「鬼平犯科帳」は小説からのファンですが、まさか今となって大きなスクリーンで観ることができるとは思ってもいませんでした。 かなり期待していましたが、その期待を上回ってくれて大満足。 長谷川平蔵は二代目中村吉右衛門のイメージがかなり焼き付いてしまっていますが、いつの間にか恰幅が良くなった十代目松本幸四郎は見事に平蔵になっていて安心して見ていられました。 また今作は暴れん坊だった若き日の平蔵に発端する事件で過去の様子も頻繁に差し込まれますが、その平蔵を息子の八代目市川染五郎が演じているという粋なキャスティング。 その他も豪華な俳優陣で固め良きスタートを切ったのではないかと思います。 しかし、、、この後はTVドラマとして続くのですが有料のBS時代劇専門チャンネルでの配信とのことで、このご時世、仕方ないことではありますが、未契約の自分には残念です。
時代劇らしい時代劇
池波正太郎さんの生誕100年記念作品シリーズの流れをくむ本作。「仕掛人・藤枝梅安」がとてもよかったので、期待して公開初日に鑑賞してきました。観客は中高年男性を中心に10名にも満たない状況でしたが、作品は正統派時代劇として上質な仕上がりでした。 ストーリーは、火付盗賊改方として「鬼の平蔵」と恐れられていた長谷川平蔵が、網切の甚五郎一味による凶悪な押し込み強盗事件を捜査していたところ、平蔵が若き日に世話になった居酒屋の娘・おまさが、平蔵のために独断で探索を続けるなかで、平蔵にまつわる過去の因縁が明らかになっていくというもの。 わかりやすいストーリーで、本格的な時代劇を楽しめるので、時代劇の入門編として若い人にもおすすめできる、というか観てほしい作品だと感じます。当時の街並みや調度品、行き交う人々の息づかいが、江戸の雰囲気をうまく醸し出しています。背景にぼんやりと映るだけの町民たちもしっかり演技しており、細部までのこだわりを感じます。 きちんと作り込まれた世界観の中で、火盗提灯をバックに名乗る鬼平の姿は本当に絵になります。鬼平の殺陣も見応えがあり、大人数相手の無双ぶりはちょっとやり過ぎな感じもしましたが、甚五郎との対決は北村有起哉さんの斬られぶりと相まってお見事でした。一方、市井のシーンでは志田未来さん演じるおりんへの声かけに心が温まり、お裁きのシーンでは柄本明さん演じる九平への裁決が涙を誘います。硬軟それぞれの平蔵を、熟練の俳優たちがしっかり演出しているのを感じます。 終盤は、過去の因縁を紐解きながら、冒頭シーンを回収していきます。王道でわかりやすい展開ではあるのですが、見方を変えれば平凡で意外性に欠けるとも言えます。そういう意味では、もう一捻り欲しかったところです。また、本作の肝であるおまさについても、あそこまで平蔵に尽くす理由が釈然としません。加えて、若き日の彼女は、“おろくは自業自得だ”と捉えています。おまさの背景や内面を掘り下げていたなら、彼女の行動がもっと熱く響いてきたのではないかと思います。とはいえ、大スクリーンで、鬼平の新作を観られた満足感は高く、多くの人にお勧めできる作品に仕上がっています。 主演は松本幸四郎さんで、鬼平を好演しています。本作では脇の俳優陣に助けられていた感もありますが、今後も鬼平を演じ続ける中で、中村吉右衛門さんを超えていくことを期待しています。脇を固めるのは、中村ゆりさん、志田未来さん、北村有起哉さん、松本穂香さん、仙道敦子さん、市川染五郎さん、中井貴一さん、柄本明さんら。ベテラン俳優陣の確かな演技が、作品全体を上質なものにしています。
鬼平犯科帳の本当のテーマとは何でしょうか? 21世紀に持続性のある時代劇とは?
鬼平犯科帳 血闘 令和の鬼平待ってました 原作は言わずと知れた池波正太郎 文庫本は全25巻と別巻1冊、全部で135話あります 1967年から1989年の22年間、「オール讀物」誌に断続的に掲載されました 鬼平ファンには釈迦に説法ですね 映像化は何度もあり、テレビドラマ、映画、舞台、漫画、アニメまであります 果ては江戸の古地図に現在の地図と鬼平の各話のエピソードに登場する地名を重ね合わせて解説する本まで出版されるほど 自分もそれを見てよく散歩したものです 熱烈なファンが多いです 高齢男性キラーのコンテンツですが、近頃はなにやら若い女性ファンもチラホラいるみたいです 本所深川、目黒不動さまなどを散歩していると着物姿の鬼平ファンと思しき女性を見かけることがあります つまりゴジラに匹敵するキラーコンテンツというわけです 日本の映像コンテンツの宝なのです テレビドラマ化は令和の配信シリーズを入れると6度目です 八代目松本幸四郎版、丹波哲郎版、萬屋錦之介版、二代目中村吉右衛門版、そして今回の十代目 松本幸四郎版というわけです 今回の配信シリーズの第2話を劇場版として公開されたものが本作という訳です 劇場映画では今回が2度目になります 前回は1995年の中村吉右衛門版の「鬼平犯科帳 劇場版」でした なのでスクリーンに鬼平が戻って来るのは29年ぶりです テレビドラマなら平成の中村吉右衛門版が第9シリーズ全138話で終了したのが2001年でしたから、そこから23年も経ちました その後テレビスペシャルが13編放送されましたが、それも2016年で終了しました 時代劇専門チャネルでの鬼平外伝は5編あります それも一番最後の「鬼平外伝 最終章 四度目の女房」が2016年でした そこから8年 長かった、みんな首を長くして待っていました 満を持してのリブートです 2001年に中村吉右衛門の平成テレビドラマシリーズが終了したとき、十代目松本幸四郎はまだ28歳だったのです その彼も2024年の今年51歳 彼が50歳を越えて、鬼平役に相応しい年格好と風格になるのを本人も周囲も待っていたのだと思います さて本作 結論からいうと大満足です でもどうしても大成功した平成の鬼平犯科帳と比較してしまいます 観客はもちろん、主役はもちろん役者達、監督はじめ製作陣までも同様だったと思います どこまでも平成と同じものを求めてモノマネ作品に止まっていてはつまらない 令和にリメイクするからには何かしら新味が無ければ意味があるといえるのか そのプレッシャーは恐ろしく大きなものだったと思います 時代劇を21世紀にこれからもずっと作くっていけること そのためには当然、時代劇を撮る技術の伝承が無ければなりません でもそれは単に時代劇のセットや衣装、カツラ、小道具、所作、言葉遣い、殺陣 、時代考証などの約束ごとの継承だけで済むことなのでしょうか? それだけではないと思います 時代劇がこれからも観客に支持され続けるものがなければそれは達成出来ないのです 今風に言えば、持続性のあるコンテンツであるかどうかです そもそも池波正太郎が江戸時代のノワールを小説にしたのは、同じ事を昭和の現代でそれを目指したのだと思うのです 1967年の一番最初の白黒のテレビドラマでも既に音楽には現代的なギターが付けられていました それが平成版ではあのジプシー・キングスの「インスピレーション」に発展していったのです ではどこに令和版の発展の余地があるでしょうか? 鬼平犯科帳の本当のテーマとは何でしょう? その核心をはずさなければ令和の時代性に合わせた発展の余地が必ず見つかるはずだと思います 江戸時代の犯罪捜査物 そんな表層的なものではこれほど息の長いコンテンツにはなりえません もっと深いもののはずです 日本人の心の奥深くに響くものです それは日本人の心です 心の機微、真心です 殺伐さをますばかりの世界 その中で世界の人々が求めるものは悪を憎むと同時に寛容の心を忘れないこと 日本人の心、鬼平の物語はそれを表現しているのです そしてその日本人の心をつくる日本の風土です 季節の織りなす光景、山川木々花風雨雪 それこそが鬼平犯科帳の真のテーマなのだと思います 料理が取り上げられるのも同様です 料理は平和を象徴しているのだと思います 平成版はその核心を見事に射抜いていたからこそあれほどの成功をみたのだと思うのです あの平成版のエンディングの春夏秋冬の映像と音楽こそが純度の高い結晶だったと思います だから古びないし、何度みても見飽きないし感動するのです 今、日本に世界中からインバウンド観光客が押し寄せています そして彼ら彼女達は何を求めているかというと、その日本の美しい風土、それが育んだ日本人の心、そして土地と気候が産み出した山の幸海の幸、さらに手間暇を惜しまず手をかけた日本の料理なのてす それはこの鬼平犯科帳のテーマそのものではないでしょうか? つまり鬼平犯科帳こそは、世界に通じる普遍性と世界中の人たちが求める日本の姿が濃密にあるコンテンツなのです 世界で大ヒットした「SHOGUN 将軍」に も肩を並べるコンテンツに成長するポテンシャルをもっているはずと思います 令和版は時代劇の技術の継承は大成功を納めていると思います 明るく美しい鮮明な画面の中に本格の時代劇が再現されたと断言できます 日本の風土の美しさ、その風土が産みだす料理の美味しさ それも忘れずに取り上げられています ストーリーは原作があり自由はききません しかし江戸時代も21世紀も変わらない日本人の心を描くのだから、あたら変な改変は不要です 真っ当でよく整理された脚本でした では完璧かというと、欲をいえばのレベルですが気になる点はあります 言いたいことが色々あります ここがこう あの役のあの人はどうと しかし平成版と同じことを追い求めてはいけないのです 違和感があってもそれも慣れの問題なのかもしれません 私達観客も、製作陣もともに成長して21世紀に持続性のある時代劇を確立させていかなければならないのです 世界展開して成功を収める それが時代劇が21世紀でも持続していくために求められることだと思います そのためには令和版にはなにが必要か まだ不足している要素は何か そこをさらに追求すれば平成版を追い越す成功も決して夢ではないと思います 海外の人がみたい日本の美しい風土、寺社仏閣は今はVFXでいくらでも実現できるはずです なにもロケだけに頼ることもないと思います 大昔の監督みたいにあの電柱が邪魔だからどかせろなんて時代ではありません 有名観光地を封鎖して撮影する必要もありません 平成版以上に自由度は遥かに上がっていると思います その映像に日本人の優しい真心を据えて丁寧に心の動き表現できさえすれば良いはずです 本作はかなり近いところにまで迫っていると思います ただエンディングが真っ黒のスタッフロールの愛想のなさだけは残念でした 年末にまた鬼平犯科帳の次の劇場版を公開して欲しいものです 年の暮れ、正月こそ本格の時代劇をみたいじゃないですか それが日本人を形づくることでもあると思います 時代劇に持続性を持たせるためには絶対に必要なことだと思います 待っています 「正月四日の客」みたいに 蛇足 池波正太郎は1923年1月25日生まれ それで本作の最初に池波正太郎生誕100年企画とロゴマークがでます 十代目松本幸四郎も2023年が50歳 コロナ禍の中で苦労して準備がすすめられたのだと思います 池波正太郎生誕地碑は浅草の大川べりの待乳山聖天さまの石段の脇にあります また合羽橋の台東区生涯学習センターの1階の図書館の一画に小さいながら池波正太郎記念文庫があります ファンの方ならとっくにご存知というか訪問済みですね
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