劇場公開日 2024年5月10日

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「時代劇はいいね」鬼平犯科帳 血闘 ココヤシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0時代劇はいいね

2024年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

原作未読だが、中村吉右衛門さんの時代劇『鬼平犯科帳』はほぼ欠かさず視聴していたので、本作も鑑賞。
「殺さず、犯さず、貧しきからは盗まず」の昔気質の老盗賊「鷺原の九平」(柄本明)は、忍びこんだ大店で、凶賊「網切の甚五郎」(北村有起哉)の一味が、引き込み女「おりん」(志田未来)の手引きで押しこむのに遭遇。一家を惨殺して大金を盗み出した甚五郎一味は、血文字で「平ぞう」と書き残して火付盗賊改方「長谷川平蔵」(松本幸四郎)に挑戦する。「盗人の風上にも置けない奴ら」と憤った九平は、一味の後を尾けて盗人宿を突き止める。
一方、若き日の「長谷川銕三郎」(市川染五郎)が入り浸っていた居酒屋の娘で、銕三郎を慕っていた「おまさ」(中村ゆり)が、平蔵が火盗改に就任したと聞いて、密偵になりたいと申し出る。だが、おまさを妹のように可愛がる平蔵は、闇の世界に逆戻りすることはないと、これを断る。
金回りがよくなった賊は流行りの店に行くかもしれない、目配りを怠らぬようにと、平蔵は同心たちに指示。自身も同心「木村忠吾」(浅利陽介)に教えられた芋酒屋を訪ねてみる。その酒屋の主人こそは、九平に他ならなかった。
浪人「桑原又二郎」(山口祥行)に追われた遊女が、酒屋に逃げ込んでくる。遊女はおりんで、平蔵を罠にかけようとしたのだった。だが、平蔵の気迫に呑まれた又二郎は、店内で仕掛けるのを諦める。遊女に扮した自分にも分け隔てなく接する平蔵を知って、おりんは平蔵が甚五郎の言うような人非人ではないのではと思いはじめる。
店を出た平蔵は又二郎らに襲われるが、撃退する。
翌日、芋酒屋の主人が夜逃げしたと知って、盗賊にかかわりのある者に違いないとにらむ。
主人の人相書きを見たおまさは、独自に探索を始める——といったストーリー。
原作どおりなのかもしれないが、おまさとおりんのキャラが被っているのがもったいない。おりんの生い立ちを掘り下げて、甚五郎に拾われて大恩を受けた身なので、残虐な手口に抵抗を覚えつつも裏切れないという葛藤を丁寧に描いてほしかった。
また、九平がフェードアウトしてしまうのもどうだろう。お構いなしとなったのだろうけれど、顛末をきっちり語るべきだ。
とはいえ、時代劇はいいね。

ココヤシ