「サイコスリラーのような青春ロマンス」ひらいて つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
サイコスリラーのような青春ロマンス
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勉強も出来て人気者の主人公愛。彼女は今まで望むものほとんどを手にすることができる人生を生きてきたのだろう。
自分のワガママで、自分のことだけを考えて。
そんな彼女がつまずく物語がこの作品だ。
ある日突然、想い人が誰かと付き合っていることを知る。そして、当人からはただただ拒否される。
君の笑顔は嘘だと。誰かのために向けられたものではないと見透かされる。
自分に告白してきた男はいつの間にか他の子と付き合っている。
学祭でのダンスで、愛はセンターだったはずなのに、リハーサルをすっぽかしても残ったメンバーは愛がいないまま踊り始める。
どんな人であっても、その人を中心に世界が回ることはない。自分勝手なワガママが通るわけはない。
誰かと一緒にいることを望むならば、相手に寄り添わなければならない。相手にも人間らしい心はあるのだから。
たとえの父親はたとえを束縛しようとする大人だ。ただ自分のワガママだけで縛り付けようとする。それは主人公愛の姿と重なる。
たとえの父親を殴る行為は、愛が自分を殴ったことと同義だ。そして、本作の中で初めて、自分のためではなく愛が行動した瞬間だった。
カテゴリとしては青春恋愛ものといえると思うが、中盤辺りでたとえに告白し、しかも振られてしまって、このあとどうすんだ?と驚いた。
前半も中々アグレッシブなストーリーテリングであったが、後半はもっとアグレッシブで本当に驚いた。見ようによってはサイコスリラーのようだった。
しかしそんな苛烈さが面白かった。
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