FUNNY BUNNYのレビュー・感想・評価
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思わぬ宝石。今年のベスト級
物語が始まり子どもみたいで馬鹿みたいでなんか面倒臭い剣持がちょっと嫌いだった。
しかし、セリフを言うときに目立つように一歩前に出る。話していないときは余計な動きをしない。話し方が仰々しい。など、舞台演劇を観ているようで面白かった。
レコードのA面B面のA面である図書館襲撃が終わる頃にはなぜか乗せられ剣持のことがちょっと好きになった。
図書館に居合わせた人たちが中華屋に集まるほど剣持に惹かれる気持ちがよく分かった。
バカでお節介でやけに熱い男剣持の魅力に気付いてしまった。
レコードが裏返りB面。
一見、前半と全く違う話をしているように見えるがキャラクターの立ち位置を替えて同じような物語を紡いでいるのが分かる。A面もB面も同じレコードなのだ。
A面で救われた剣持がB面では救う側になる。剣持にとっては自分を再び救う行為だったのかもしれない。
もう放送局ジャックがなされる頃には中華屋の面々と同様に剣持を応援している自分がいる。
バカでお節介で熱い男剣持に惚れてしまう。そしてバンドのメンバーと同じように「お前の小説読んでみてぇ」気持ちが芽生えるのだ。
明かされた小説のタイトルは「FUNNY BUNNY」うさぎが図書館を襲撃する物語らしい。
レコードのA面である図書館襲撃は剣持の小説だった。わざとらしいセリフ回しで舞台演劇のようだった理由がここで発覚した。
全く関係なさそうでちゃんと繋がっているどころかループしているともいえる。
中川大志が演じた剣持というキャラクター。出だしはウザくて嫌いだったにも関わらず、終わってみればこんなにも愛せるキャラクターもそういないと思わせるだけの魅力的なキャラクターに変貌した。
お前の小説つまんねぇけど、映画は最高に面白かったよ。
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