「俳優陣の怪演が素晴らしい。」CUBE 一度入ったら、最後 いろはさんの映画レビュー(感想・評価)
俳優陣の怪演が素晴らしい。
海外映画の名作を日本版にリメイクということで、正直少し不安もありましたが、色んな意味で怖いもの見たさで鑑賞しました。不安を煽るカメラワークや、BGMの演出がとても良かったです。グロの部分に関しては、全年齢で公開するならこれくらいでも十分頑張った方かと思います。トラップに関しては、原作を未視聴なのでなんとも言えませんが、日本の映像技術であれ以上数を出すと、どうしてもチープになってしまうんじゃないかなといった印象です。
実際、斎藤工さんの演じるキャラクターが死亡するシーンや、岡田将生さん演じるキャラクターが死亡するシーンでの罠どうにもSFを全面に出しすぎた印象を受け、スクリーンの外に引っ張り出されたような感覚でした。これはあくまで好みですが、少し原始的な罠の方が、創作物とわかりつつもより没入できるので好ましいです。
そして、評価を★4にまで押し上げたのは、俳優陣の怪演です。画面映えするのに、でも現実にもこういう人って居そうだよなぁという絶妙なさじ加減の演技に引き込まれました。特に、恐怖や披露から突発的に狂気に飲まれたり、じわじわと沈んでいったりという表現が素晴らしかったです。特に、岡田将生さんの演技は、いい意味でとんでもなかった。映画を観たあと、しばらく手が震えたままでした。
CUBEが作られた理由や、キャラクターたちがCUBEに囚われた理由、杏さん演じるキャラクターについて等、説明不足という意見も多いようですが、この手の映画でその辺を細々語られると、少し作りとしてくどいかなと思うので、個人的には特に気になりませんでした。細かな説明は「理不尽さ」「不安感」を薄めてしまうと思います。ただ、今作は「ヒューマンドラマ」としての要素も少し含まれているように思うので、そこを引き立てるなら細かい説明も有効な気はします。難しいですね。
自分なりに考察をするための材料はしっかりと用意されているので、むしろ好ましかったです。