「ワイルドに行こうぜ!」アクアマン 失われた王国 sumichiyoさんの映画レビュー(感想・評価)
ワイルドに行こうぜ!
テーマ曲どおり、ワイルドが散りばめられた作品でした。
アクアマンといえば「海」ですが、本作も海中シーンが作り込まれていました。海の世界が前作ほど色鮮やかでなくなった分、CGチックな発光がなくなりました。その代わり少し暗め…。よりリアルになりました。海の生き物もシンプルで変に異世界感もなかったです。
本作はヒーロー映画の原点に回帰していると感じました。VFXで描かれたシーンもあったけれど、同じくらいロケシーンもありました。なので、自然体な演技や表情もちらほら。バトルもVFX少なめの昔ながらのパワーとパワーがぶつかり合うワイルドな戦いでした。目まぐるしく飛び回るシーンよりも落ち着いて観れました。
ワイルドだったアクアマンはちょっぴりマイルドに。むしろ、弟のオームがワイルドになるストーリーでした。いつも眉間にシワのオームが兄であるアクアマンと接するうちにワイルドを理解していく。アクアマン役のジェイソン・モモアとオーム役のパトリック・ウィルソンは役としても俳優としても雰囲気もイメージも対照的だし、そんな二人のワイルドなシーンはぎこちないようで少し可笑しかったです。
ジェームズ・ガン就任以降のDC映画は原点回帰している気がします。古くはマイケル・キートンのサスペンス的バットマン、ジョージ・クルーニーのロマンス的バットマンなどスターのイメージに沿ったヒーロー像が一時期のDCの特徴でした。本作もアクアマンになったジェイソン・モモアというような英雄的でないワイルドでマイルドなヒーロー映画になっていました。おそらく、コミックとは違うアクアマンだと思います。無理にヒーロー像を固定せず、スター性を活かす方向はいいと思います。これからのDC作品に期待したいです。