「過去の記憶は変えられない。たとえそれが残酷であっても。」レミニセンス ニンフィア好きさんの映画レビュー(感想・評価)
過去の記憶は変えられない。たとえそれが残酷であっても。
"reminiscence" 「過去の記憶が、直後よりも時間が経った後の方が鮮明に思い出せること」
最初はストーリーに、ん?ってなりました。難しい話なのか、と思ってたけど、最後まで観てみると思った以上に爪痕を残してくる作品でした。心の奥にぐっと何かを押し込まれる感覚を覚えました。過去は変えられない。過去は戻ってこない。だからこそ、過去のことを悔やむより、今を生きることが大切です。
舞台は、街が水に沈んだ近未来。本当に世界は水没しそうで怖いですね。そんな現実味ある世界で、「過去の記憶ととある女性を巡る巨大な陰謀」との戦いが始まります。SF要素はモリモリです。SFといっても宇宙ではなく、一人の人間の記憶に潜む謎を探し出すいわゆる記憶潜入です。この手の作品も僕は結構好きで、SFに上手くめり込んでくるサスペンス要素が心を掻き立ててくれます。以前「秘密 THE TOP SECRET」を観たときにかなりの衝撃を受け、話が壮大すぎてとんでもなく大きいものが心に刺さった感覚がありました。今作はそこまでではないものの、過去に逃げる主人公の心の葛藤や何か見えないものに囚われるような苦悩はどこか共感できるものがありました。誰だって、守りたいものがある。守りたい人がいる。受け入れたくない現実がある。過去に囚われて動けなくなる時がある。この作品において記憶潜入の一番のテーマはこんな感じのことなのかもしれないです。過去を変えられたら・・・なんて誰しも一度は思ったことがあるでしょう。この映画は、そんな心情に深く突き刺さるような作品だったと思います。
ストーリーは確かに難しいです。でも、それでこそ映画というもの。こういった映画がもっと増えたらと思います。最後に、あなたの変えたいと思う過去の記憶は何ですか?