「エキセントリックでホモソーシャルなアウトロー」トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
エキセントリックでホモソーシャルなアウトロー
19世紀後半のオーストラリアに実在したアウトロー、ネッド・ケリーの伝記映画は、過去にミック・ジャガーやヒース・レジャー主演で映画化されたものも含め、これまでに11作品も作られているらしい。
義賊として知られているらしいネッドだが、本作ではその描写は全くと言っていいほど皆無。英雄視されていたアウトローのビリー・ザ・キッド像を『ヤングガン』が粉々にしたように、劣悪な環境に育った少年期から、女装したギャング団として過激に暴れ出す青年期をエキセントリックにかつホモソーシャルに描く。
ケリーが常に“男らしさ”を求められる一方で、原作でも描かれていた母親エレンの愛憎に満ちた関係を、映画版ではより強調していると思う(特にラスト)。その反動からか、ネッドの妻メアリーが蚊帳の外状態になってしまっている感は否めず。
ジャン・バルジャンを追い続けるジャヴェール警部のように、ビリー・ザ・キッドと対峙するパット・ギャレットのように、ホモソーシャルチックにネッドに付きまとう警官役のニコラス・ホルトが一番のもうけ役。
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