「何が何だかわからない辛さ」ファーザー のんさんの映画レビュー(感想・評価)
何が何だかわからない辛さ
認知症目線で、介護される側の気持ちを体験できる。
介護が大変であることは当然知られているけれど、認知症の人自身の混乱や辛さをここまで感じたのは初めてだった。何が何だかわからないということが、どれだけ辛いか。誰にも理解されず、違和感を感じながら生きること…
とても手厚い介護をしてくれるところだから、娘はかなり頑張って高額な施設を選んだんだろうなと思った。
娘も日々を捧げて尽くしても、なかなか届かない気持ちも辛い。
誰も悪くなくて、ただ辛い最中にいることが苦しい。
もし家族や自分がなったらどうしたらいいか、つい考えることも逃げてしまうけど、考えておいた方がいいよなあと思ったり…
将来、認知症が治る病になったら、どれだけ多くの人が救われるだろうか。どうか、開発されたらいいなと願ってしまう。
そして、最後のシーンで『ママに会いたい』という顔が、父親ではなく、子どものような顔になっているところにゾクゾクさせられた。さすが名優、という言葉では足りないくらい、すごいお芝居だった。
コメントする