「認知症の主人公の日常生活をサスペンス風に描く、なんとも絶妙な味わいが感じられる作品です。」ファーザー もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
認知症の主人公の日常生活をサスペンス風に描く、なんとも絶妙な味わいが感じられる作品です。
認知症の老人と、世話をする娘
どう転んでも重そうな作品だよなぁ…と、
なんとなく観るのを躊躇っていた作品です。
予告編を見たときは
徐々に頭の中が壊れていく男
その悲哀を描いた人間ドラマか? との印象でした。
けれど です。
そんな単純な内容のお話ではありませんでした。
◇
認知症の男 から見た出来事 と
周囲の人々 から見た出来事
両者の間に起きる 「認識のズレ」
そのズレを重ねつつ、
巧みにずらしながら再生する… と表現すればいいのか。
両方の認識には当然 「ズレ」 があるため
同一の出来事のはずなのに
スクリーンの中で起きる出来事が一致しないのです。
微妙に。
私の場合
今作中で起きていることを整理しようと
すればするほど 訳が分からなくなっていくのでした。 とほほ
その展開の匠さには
もう拍手するしかありませんでした。 はい。
※ …などと言えるのも
観終わって帰宅して、あれこれと
考える時間ができたからこその感想です。
観ている最中は、もう何が何やらな状態でした。
観ている最中は、この
「いったい何が正しい事なのか?」
という疑問に対する正解が
分からない状態のまま話が進むわけですが (…私の場合)
このような状態は
認知症の人にとって日常の事なのかもしれない
そう考えたら…
何となく切ない気分になってしまいました。 しくしく…。
もしかすると
この作品の監督の思惑どおりに
手のひらで転がされたのかもしれない…
そんな気がしないでもないです…。
◇ あれこれ
繰り返し登場するキーワード
・何度も気にする腕時計
・パリの人間は英語を話せない連中ばかり (←偏見?)
何かの象徴であるかのようにも感じましたが
それが何なのか分かりません…。
※フランス人は、英語を話せてもフランス語しか使わない
と、昔聞いたような気がします…
本当でしょうか …?
作中で詳細が語られない下の娘のこと
・会いたいのに長いこと会っていない
・画家として世界を舞台に活躍している
この主人公が原因で、「大怪我を負ったか亡くなった」
というコトなのでしょうか。
だからその話はタブーになっている… とかなのか?
◇ 最後に
ラストの
主人公が幼児退行して母を呼ぶ場面。
じわじわと心に沁みてきます。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
こんにちは。
二本目のドジョウを狙ってこういう映画ばかりになったらちょっと閉口です😣
イギリスとフランスは仲が悪く、両方の言葉を喋れても敢えて話さないって事でしょうか。
時間を気にする職業、もしくは、とても大事な時計だったのでは?と解釈しました。
もりのいぶきさん。
俺はこの映画を見ているとき、「あれ?やばいぞ、わからない。」となり、自分も認知症なんじゃないかと真剣に理解しようとつとめましたw
まぁ、認知症の特徴は新しい記憶ができないこともあるので、まだ内容を覚えているからホッとしました・・・