「シルクの裸エプロン」オートクチュール カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
シルクの裸エプロン
水曜日のサービスディのシアターはご婦人方でいっぱいでした。オートクチュールって昔よくラジオのCMで耳にしました。
じゅわいよくちゅーるマキ。
じゅわい・よく・ちゅーる?
じゅわい・よ・くちゅーる?
じゅわいよは joyaux=宝石
くちゅーるは couture=縫製、仕立て服の意味らしいです。
ディオールに長年勤めてきたベテランのお張り子さんのエステルはお張り子のトップとして最後の年を迎えようとしていました。母親もそうだった。仕事一筋でかまってもらえず、15で同じ道に入ることで認めてもらおうと必死に生きてきた。その結果、自分の娘にも同じような淋しさを感じさせてしまったと思っていて、疎遠になってしまった娘とは別々のひとり暮らし。糖尿なのにお菓子や炭水化物が主食。健康より仕事を優先する職人気質。体調を崩しがちで、ジャドに助けられる。タバコ🚬もよく吸います。
高級なシルクの生地を扱うのにヤニ臭くなんね~のかよ❗
と何度も思いました。
自分はマクドナルドでポテトばかりのなのにエステルの健康を心配する優しい娘のジャド。
フランスのパリ郊外の団地住まいのティーンエイジャーのジャドは同じ棟の下の階にすんでいるイスラム教のアラブ系の移民の友達のとひったくりや手先の器用さを活かしてスリ稼業でのその日暮らし。病気で臥せっている母親と二人きり。でも、熱心に母親の世話を焼くヤングケアラーなんかではありません。
映画の冒頭、通勤時間帯の地下鉄で居眠りしてい青年のギターを失敬して、地下道で即興の弾き語り。旨いじゃない。そこへ通勤前のエステルがボーッと立ち止まって聴いているところを友達がバックを引ったくって逃げる。あっけにとられて立ち尽くすエステルに「捕まえるから待ってて」と嘘言ってギターをあずけて逃げる。
いっぱしのプロですな。
エステルはギターを持ってそのまま出勤。
この前まで公開していた映画【GAGARINE】でロマ族の娘でヒロイン役だったリナ・クードリがジャド役なので観ました。主に北アフリカ系などの多民族国家でもあるフランスの庶民の現状を描いた映画として、2本立ての続きを観ているみたいでした。ガガーリンも雰囲気のあるいい映画なので、リナ・クードリを気にいった方は観て下さいな。
エステルのバックにはユダヤ教徒の証の金のネックレスが入っていました。
ジャドはバックのなかの社員証を見て、エステルの働くパリのディオールのデザインスタジオ(アトリエ)を訪れる。警備員もアラブ系の男。
もちろんオネエも出てきます。
炭水化物ばかりのエステルの食事習慣を改めてようと野菜中心の食事を作ってあげようとする場面ではオネエが大きなズッキーニを見て、「美味しそう」と言います🤭
一番気になったのはデザインスタジオにいるいかにも東欧出身の綺麗なモデルさんでした。透き通るような白い肌に小顔。髪もプラチナブロンド。
シルクの裸エプロン風シーン。左斜め後ろからのはみ乳シーンがとても素晴らしかったです。
このモデルさんはタイムガードは押さないものの、アトリエに丈の短い純白のガウン一枚の薄着姿で、一日中立っているらしい。ホント?
普通にマネキン(トルソー)もあって、作りかけのドレスを掛けて、直接裁縫する場面もありますが、モデルさんに着せて、直接裁縫する場面があります。病的に意地の悪い中堅のお張り子がいて、ヒール役を発揮する恐ろしい場面があります。
男のお張り子さんもひとりいて、まずまず重要な役ですが、それは観てのお楽しみに。
なかなかセリフは辛辣で、ジャドは恩人のエステルに「しわしわババア」呼ばわりします。
でもそれだけ、お互いとても気になる運命的ものを感じて、師弟愛を越えて二人が成長するハートフルヒューマンドラマで、大変よかったです。
リナ・クードリはキリッとした美人さんで、アルジェリア人の血が混じっている。
今後が楽しみな若手です。
でも、正直に言いますといちばん気になったのはモデルさんでした。