「戦闘シーンは見事!・・・だが。。。」アウトポスト バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
戦闘シーンは見事!・・・だが。。。
戦闘シーンの迫力と緊迫感、緊張感、臨場感がハンパないです。
エグい四肢損傷描写がふんだんにあるわけではないです。そーいうことではないんです。なんだろ?兵士の視線がカメラになっているかのようなアングルが多用されているからなのでしょうか?やばいやばいやばいーーーーー!って。早く早くーーーー!って。やられるやられるー!って。
なんだか、戦闘シーンはずっと奥歯を噛み締めてた気がします。それほどの臨場感でしたからクライマックスの絶望感たるや。
ただ、すごーく気になるのが、アメリカ軍の立ち位置で語られ、話が進んでいく部分です。
この気の毒この上ない基地に配属された兵士の皆さんは、素晴らしい働きをなされたんだと思いますが、あくまで本作の目線はアメリカ軍なんですよね。
懐柔しようとしている地元民や、共闘しているアフガン兵、タリバン(これは無理か)などの視点からの描きがこれっぽちも無いのです。アメリカの都合で決めた戦争、その戦争を勝つためにアメリカの都合で話を進めていって、得られた結果を一方的に賛美しているような見え方になってしまいました。僕には。。。。
アフガン兵の働きが悪いとか、地元民とのコミュニケーションロス(に見えますが)も、相手が悪いと言うような着地に見えるし(すごい偏見ですが、結果が伴わないと他責発言すること多いですよね?欧米の方々。。。映画やTVのドキュメントでよく見ます)。
本当にーーーー?????って言いたくなります。
タリバンの攻撃を察知できなかったところに落ち度はなかったのか?
事前にできる防護策はなかったのか?なぜ、他の基地を考えなかったのか?・・・などなど疑問に思うことは多いですが、言及なしです。
なんだろな、なぜこんな時期(2018年制作開始、2020年3月公開予定)にこの映画なんだろうか?
実在の軍人さんたちが出てきますが・・・軍人さん万歳!サイコー!な映画をなぜ作ったのだろうか?
確かに知られるべき事実であり方々だとは思いますが、このなんとも「正当化してない?」な疑念が消えないのです。どーにも、こーいう映画は、表彰式のVTR、軍の広告みたいに感じられてしまって、、、、僕はひねくれているのかなぁ?
アフガン紛争はまだ続いています。20年以上も。もしかしたらアメリカ国内の士気高揚、軍隊の士気高揚、もしかしたら公開予定年末に予定していた大統領選挙への効果狙い?なんて穿った見方をしてしまいます。・・・考えすぎか・・・・。
けど、それほど優等生的アメリカ軍映画なんですもの・・・。
あ、そーいえば・・・。
プラトーンなどで描かれる「戦争(兵士)の狂気」はこの映画には無いです。クリーンなんです。
復讐が目的にならない、理性的な兵士たち。
面白半分、私情で銃をぶっ放さない。
薬物を厳しく律する上官。
タバコを吸う人がほとんどいない。
酒飲んで、ハッパ吸ってアッパラパーになる人いない。
変わったものです。狂ってしまうほどに恐ろしい白兵戦がなくなったのでしょうか?
(戦争未経験の僕が言うことでは無いですが)
うーーーむ、アメリカ陸軍の勧誘VTRとも思えちゃうなぁ。。。
やはり、ヒネクレモノですね、僕。