「なぜだか妙に捨てがたい珍作」AVA エヴァ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
なぜだか妙に捨てがたい珍作
本作は私の中で”珍作”に属する。チャステイン自ら製作するほど情熱を燃やした作品ではあるものの、当初の監督が諸般の事情により降板し、「ヘルプ」でチャステインと組んだテイト・テイラーが急遽”助っ人”登板するなど、幾多の試練を強引に乗り超えてきた歪さは否めない。その点、ジャンルの王道たるベッソン作品に比べると、アクションの魅せ方、リズム、スピード感などあらゆる面で見劣りがする。だが、そもそもこの道に「正解」など何もないわけで「仮にベッソンなら、こう描かないだろうな」という場面が逆にカウンターとして面白く感じられたりも。ヒロインがプロの殺し屋として問題アリだったり、なぜかホームドラマが尾を引いたり、戦い方が泥臭さかったり、豪華俳優が勿体ない使われ方をしていたり。それは難点であると同時に「なんじゃこりゃ?」点としても興味深く響く。心に余裕を持って斜め上から見つめるくらいがちょうど楽しめる珍味である。
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