「置き去りにしたものを自省する4時間半」ボストン市庁舎 ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
置き去りにしたものを自省する4時間半
話せばわかるという時代はどこに置き去りにされたのだろうか。いつのまにか、話してもわかりあえないことに洗脳されてしまっている自分がいる。
なのに、ボストンの市長と市職員たちの熱弁には、少なくとも話してもわかりあえないという諦めがない。
それはある意味嘘臭いとも思える。だが長時間のドキュメンタリーの間、ずっと対話し続けている彼らを見て、うーん、こんなのあり?と度肝を抜かれるのである。
市長が、「力を合わせればなんでもできる。それが民主主義です」と少しも恥らいもなく言い切る。そして、不平等は法律違反、地域の利益は地域が動かす、という言葉が市民との対話の中で飛び交う。ここは古代ギリシャのポリス?
理想を掲げられなくなった自分がいる。というより、掲げるべき理想があるはずだ、と信じなくなっている自分がいる。だから、この理想を掲げた熱弁の数々は至極疲れる。聞いてて照れ臭くもなる。
置き去りにしたものを自省する4時間半。誰しもが突きつけられるだろう。
あなたはどう考えるのか、あなたはどうしたいのか、あなたはただ黙ってればいいのかと。
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