「驚くべきアニメの芝居の力」漁港の肉子ちゃん 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
驚くべきアニメの芝居の力
すごい。芝居でこれだけ魅せられるアニメはなかなかない。総作監の小西賢一氏がいればこその超絶作画芝居なのだが、高畑勲から受け継いだ人間をアニメで描くスピリットの真髄がここにある。
肉子ちゃんと他のキャラクターのキャラクターデザインはまるで異なっているのも面白い。複数のトーンの異なる絵柄が共存させるのは作品のリアリティラインを混乱させることもあるのでなかなかできることではないのだが、作品世界の統一感を破綻させることなく、全体が見事にコントロールされている。
肉子ちゃんのキャラクターは、もしかしたら生身の人間が演じたらかなり嫌味で危ういキャラクターになるかもしれない、キャラデザを他のこの作品の他のキャラのようにしていても、同様だったかもしれない。あのキャラデザでなくては描けない人間像というのがあった。かなり戯画化されているが、そうでなくては描けない人間の本質があるのだと思う。正直感服した。
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