「嵐がきたら彼女も変わる」リーサル・ストーム shunsuke kawaiさんの映画レビュー(感想・評価)
嵐がきたら彼女も変わる
エミール・ハーシュは、イケメンの部類に入るのだろうか?コメディアンのジャック・ブラックそっくりで、イケメンというよりコメディ系の顔つき。
そのハーシュが、なぜかプエルトリコで警察官をしていて、リーサルストームが来る日に、リーサルウェポンシリーズの王御所メルギブが死に、メルギブの娘に浮気するという、何か象徴的な意味があるかのような。
沢山の謎が存在しながら、宙に浮いたまま終わってしまった。
なぜメルギブ主演を匂わせてあんなカメオ出演なのか?
なんで有名な絵画があんなたくさんこんな場所にあるのか?
やはり絵画に込められたこの映画に関する深い意味があるのだろうか?
なぜ犯罪集団は絵画の場所を知っていたのか?
なぜ舞台がプエルトリコなのか?
なぜナチスから逃げてきたユダヤ人のおじいさんがプエルトリコに沢山の有名な絵画を隠しもっていたのか?
なぜユダヤ人のおじいさんの部屋の金庫は空だったのか?なぜそんなギミックをする必要があったのか?まるで犯罪集団が来ることをわかっていたかのような…。
なぜウィリアム・カレットは飼うのが大変なのに虎を飼っているのか?
そして、なぜ、最初に付き合っていたエミール・ハーシュの彼女はあっけなく忘れ去られたのか?
なぜ足に怪我を負ったウィリアム・カレットは有名絵画(レンブラント?)をプレゼントされたのか?そもそも誰の所有物で、だれがあげると許可したのか?
これらの疑問は実はこの映画の外に答えがあるのかもしれない。例えば聖書とか?誰が教えてほしい。それが解けたとき、この映画は真に評価されるだろう。
これだけの謎を用意して、何もはっきりした答えが示されないアクション映画というのは観たことがない。実は新しいアクション映画の時代の幕開けとなる記念碑的な作品かもしれないのだ。でなければ、これだけ謎を放りっぱなしにした映画は、メルギブのようなオスカーも獲った世界的な映画スターの出演作にしては珍しすぎる。
ただ、大スターの晩年はヤバい映画が最近ちらほら。
今のニコラス・ケイジは全てがそっちの映画で、彼はかつて間違いなく大スターだったのに、今はヤバい映画主演の代表格だし、トラボルタの『ファナティック』やブルース・ウィリスの『アンチライフ』もヤバかった。「大スター」とは本当に限られた一時の俳優のあり方だったことを寂しく思い知らせる映画群の数々。でも、こうした晩年はアクション映画俳優が特に多いのはなぜなのか?
だが、この映画は沢山謎を残した結果、意味深さのオーラが漂っている。そこには、作品の酷さから一歩抜けたキラリと光る何かがある。とにかく意味深いアクション映画であった。