「ミナリはワンダフル。」ミナリ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ミナリはワンダフル。
たぶん期待値を上げ過ぎたせいなのだろう。評判ほど刺さらなかった。
トレーラーハウスにたどり着くまでの導入部もいいし、ジェイコブの強い家族愛もいいし、デビッドの子供らしさもいい。じわっとくるものはあったし、締め付けられるものもあった。だけどそれほどでもなかったのは、たぶん、ラストが思いのほか静かだったせいだろう。
お門違いと言われるだろうが、僕のなかで、新しい生活の苦労談で「北の国から」を越えるのはなかなかない(あれは移民じゃなくてUターンだろ、TVドラマだろ、は別として)。そして、異星人のような祖母の出現でいえば樹木希林もなかなか越えられない。おそらく、僕の期待値ハードルのバーは、その高さだったのだ。
ミナリ、日本ではセリ。水辺のどこででも育ち、根が強く、どの料理にも合い、そして美味い。それが、アメリカで逞しく生き抜いてきた韓国系移民、てことなのだろう。悲劇のあとの家族の力強さは、まさにミナリだった。
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