ドリームズ・オン・ファイアのレビュー・感想・評価
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躍動する肉体
ヒップホップダンス、と言うのだろうか?
何も知らず、フリースタイルが主体だと勘違いしていたので、スタジオでレッスンを受けて学ぶダンスとは思わなかった。
自分としては、正直なところ、それだけを観ても面白くないタイプのダンスだ。
ただ、ビートの効いた音楽の中のバックダンスとしてなら、映えるタイプだと思ったし、実需もそのあたりにあることが本作品から推測される。
主人公は、キャバクラ以外では、SM系まで含めて(笑)、いろいろな舞台やオーディションに挑戦する。
お金を稼ぐ意味もあるが、同時に、踊れる場所を必死に探し求める。
ダンスの技量よりも、SNSのフォロワー数が重要視されるビジネスの世界でも、主人公はめげない。
どんなにヤバいシチュエーションでも、ダンスで肉体が躍動すれば、心は“浄化”されるのだ。そこが、この映画の崇高で感動的なところだと思う。
この作品の一つのテーマとして、「どこで誰が見ているか分からない」というのがあると思う。
ずっと先の見えない重苦しい状況が続くが、本人がダンスの技量を上げ、いろんなところに顔を出しているうちに、道が開けてくるし相棒もできる。
音楽は、最初はビートの効いた音楽が四六時中鳴っている状況だが、次第に静かになったり、アイリッシュ音楽が出てきたりする。
“ぬかるみ”の中から、澄んだ豊かな世界へ。主人公の状況の変化を、“音”によっても暗示する。
主人公の女優は実際のダンサーらしく、スタイルが良く、背筋を立てたときのシルエットは美しい。その反面、全身を使った野性味のあるダンスは、あまり見られなかったと記憶する。
ダンサーによって、ジャンルや得意不得意があるのだろうか?
その他にも、プロのダンサーやファッションデザイナーが出演しており、物腰やしゃべり方は“台詞”というよりは“地”で行っている感じで、本作の見どころの一つだろう。
ちなみに、この映画はキモイ男の見本市のような作品で、制作者がそういう日本の姿を面白がって映しているのは明らかだ。
自分はなるべくそうならないよう(笑)、“他山の石”としたいところである。
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